高知県再犯防止推進計画

20190322公表

 高知県は「高知県再犯防止推進計画」(2019~2023年度)を取りまとめ公表した。

 近年、検挙者に占める再犯者の割合が薬物事犯を含め高くなり、刑事司法関係機関のみによる再犯防止には限界があることから、国・地方公共団体・民間が一丸となって取り組むことが重要であるとした。その観点から、一昨年、議員立法により「再犯防止推進法」が施行され、昨年法務省は「再犯防止推進計画」を取りまとめた。これを踏まえての県の「計画」である。

 

 再犯防止推進法では、地方公共団体の計画策定は努力義務とされているものの、高知県はその必要性から、昨年11月に関係機関の15人の委員で検討会を発足。都合3回の検討会とパブリックコメントを踏まえ、計画案をとりまとめ承認した。

  ( 計画書、検討会概要等についての詳細は添付のPDFを参照 ) 

 検討会の委員15名は

■国の法務関係機関

高知保護観察所、高知地方検察庁、高知刑務所、高知少年鑑別所

■国の機関

高知労働局

■市町村

高知市健康福祉総務課、高知市福祉管理課

■民間の更生保護関係機関

高知県保護司会連合会、高知県更生保護女性連盟、更生保護法人高坂寮

■民間の関連機関

高知弁護士会、高知県社会福祉士会、高知県精神保健福祉士協会

中土佐町社会福祉協議会、NPO高知県就労支援事業者機構 

 

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20190322高知県再犯防止推進計画.pdf
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20181130第1回高知県再犯防止推進計画検討会概要.pdf
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20190128第2回高知県再犯防止推進計画検討会概要.pdf
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■県計画の策定後の経過 

 高知県庁の再犯防止推進に係る所管課は地域福祉部地域福祉政策課となっている。

<https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/060101/2019032000153.html>

 四万十町では、昨年度、役場の健康福祉課と高幡保護区保護司会が市町村計画について協議し、町計画の窓口を健康福祉課とした。

 当保護司会が、四万十町の窓口となる健康福祉課に進捗状況を照会したところ、県の所管課から、高知県再犯防止推進計画の策定後の6月に県計画の冊子の送付を受け、計画の市町村説明会を9月から10月末までに実施する旨の案内があった。説明会の通知文書はまだきていないとのこと。あわせて、高知保護観察所からは県再犯防止推進計画を受けての市町村計画の取り組みについての照会や要請はなかったとのこと。

 

■市町村の取り組み

 市町村の取り組みが遅いのは、更生保護に関する施策について市町村の接点が脆弱であることによるとおもえる。高知保護観察所や保護司会の日常的な声掛けが弱いことに起因し、それ故に行政資源である「人・モノ・金」の配分が他の政策実現と比べて弱含みとなっているように思える。

 県計画においても「国と県と市町村と民間が一丸となって目標値を掲げとりくもう」との気概も文脈もない。策定にあたっての検討会のメンバーも高知市のみである。

 今月の10月には、市町村説明会を開催する予定ではあるが、県はどのような「技術的な助言」をするのであろうかと編集子は心配する。

 

■再犯防止に「家族」への支援

 県計画の対象者は「犯罪を犯した者又は非行少年若しくは非行少年であった者のうち支援が必要な者」と限定されている。

 犯罪を犯した者を支える力となるべき最も大切な存在は「家族」である。

 「幸せの黄色いハンカチ」は出所者の高倉健が不安の中で故郷に帰るストリー。空いっぱいにはためく黄色いハンカチは「待ってる家族」の象徴ではなかったか。保護司の対象者への環境調整の一環として家族との接点はあるが、各機関連携して切れ目のない「家族」支援制度を構築する必要があるのでは。

 

■施策実現に向けた財政的な説明

 計画は、目標を定め、その達成に向けた具体の施策を示し、行政資源である「人・モノ・金」を明確にし、実行し、評価し、次に繋げていかなければならない。

 お金(予算)の付け方の技術的に弱い官庁は法務省で、その中でも保護観察所は一番ではないだろうか。法律ができた以上それなりの 「人・モノ・金」は配分されるだろうが、それ以上の資金についてはブレイクスルーされた民間資金調達が求められるのでは。