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【掲載法令】

▼保護司関係法令

・保護司法

・保護司の選考に関する規則

保護司会及び保護司会連合会に関する規則

保護区及び保護区ごとの保護司の定数に関する規則

保護司実費弁償金支給規則

▼更生保護関係法令

更生保護法

犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則

再犯の防止等の推進に関する法律


保護司関係法令

保護司法

昭和25年5月25日法律第204号

最終改正:平成19年6月15日法律第88号

 

(保護司の使命)

第一条  保護司は、社会奉仕の精神をもつて、犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もつて地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与することを、その使命とする。

(設置区域及び定数)

第二条  保護司は、法務大臣が都道府県の区域を分けて定める区域(以下「保護区」という。)に置くものとする。

2  保護司の定数は、全国を通じて、五万二千五百人をこえないものとする。

3  保護区ごとの保護司の定数は、法務大臣がその土地の人口、経済、犯罪の状況その他の事情を考慮して定める。

4  第一項及び前項に規定する法務大臣の権限は、地方更生保護委員会に委任することができる。

(推薦及び委嘱)

第三条  保護司は、左の各号に掲げるすべての条件を具備する者のうちから、法務大臣が、委嘱する。

一  人格及び行動について、社会的信望を有すること。

二  職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること。

三  生活が安定していること。

四  健康で活動力を有すること。

2  法務大臣は、前項の委嘱を、地方更生保護委員会の委員長に委任することができる。

3  前二項の委嘱は、保護観察所の長が推薦した者のうちから行うものとする。

4  保護観察所の長は、前項の推薦をしようとするときは、あらかじめ、保護司選考会の意見を聴かなければならない。

(欠格条項)

第四条  次の各号のいずれかに該当する者は、保護司になることができない。

一  成年被後見人又は被保佐人

二  禁錮以上の刑に処せられた者

三  日本国憲法 の施行の日以後において、日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

(保護司選考会)

第五条  保護観察所に、保護司選考会を置く。

2  保護司選考会は、委員十三人(東京地方裁判所の管轄区域を管轄する保護観察所に置かれる保護司選考会にあつては、十五人)以内をもつて組織し、うち一人を会長とする。

3  保護司選考会の委員には、給与を支給しない。

4  この法律で定めるもののほか、保護司選考会の組織、所掌事務、委員及び事務処理の手続については、法務省令で定める。

第六条  削除

(任期)

第七条  保護司の任期は、二年とする。但し、再任を妨げない。

(職務の執行区域)

第八条  保護司は、その置かれた保護区の区域内において、職務を行うものとする。但し、地方更生保護委員会又は保護観察所の長から特に命ぜられたときは、この限りでない。

(職務の遂行)

第八条の二  保護司は、地方更生保護委員会又は保護観察所の長から指定を受けて当該地方更生保護委員会又は保護観察所の所掌に属する事務に従事するほか、保護観察所の長の承認を得た保護司会の計画の定めるところに従い、次に掲げる事務であつて当該保護観察所の所掌に属するものに従事するものとする。

一  犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図るための啓発及び宣伝の活動

二  犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図るための民間団体の活動への協力

三  犯罪の予防に寄与する地方公共団体の施策への協力

四  その他犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図ることに資する活動で法務省令で定めるもの

(服務)

第九条  保護司は、その使命を自覚し、常に人格識見の向上とその職務を行うために必要な知識及び技術の修得に努め、積極的態度をもつてその職務を遂行しなければならない。

2  保護司は、その職務を行うに当つて知り得た関係者の身上に関する秘密を尊重し、その名誉保持に努めなければならない。

第十条  削除

(費用の支給)

第十一条  保護司には、給与を支給しない。

2  保護司は、法務省令の定めるところにより、予算の範囲内において、その職務を行うために要する費用の全部又は一部の支給を受けることができる。

(解嘱)

第十二条  法務大臣は、保護司が第四条各号の一に該当するに至つたときは、これを解嘱しなければならない。

2  法務大臣は、保護司が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、保護観察所の長の申出に基づいて、これを解嘱することができる。

一  第三条第一項各号に掲げる条件のいずれかを欠くに至つたとき。

二  職務上の義務に違反し、又はその職務を怠つたとき。

三  保護司たるにふさわしくない非行があつたとき。

3  保護観察所の長は、前項の申出をしようとするときは、あらかじめ、保護司選考会の意見を聴かなければならない。

4  第一項又は第二項の規定による解嘱は、当該保護司に解嘱の理由が説明され、かつ、弁明の機会が与えられた後でなければ行うことができない。ただし、第四条第一号又は第二号に該当するに至つたことを理由とする解嘱については、この限りでない。

(保護司会)

第十三条  保護司は、その置かれた保護区ごとに保護司会を組織する。

2  保護司会は、次に掲げる事務を行うことを任務とする。

一  第八条の二に規定する計画の策定その他保護司の職務に関する連絡及び調整

二  保護司の職務に関し必要な資料及び情報の収集

三  保護司の職務に関する研究及び意見の発表

四  その他保護司の職務の円滑かつ効果的な遂行を図るために必要な事項で法務省令で定めるもの

(保護司会連合会)

第十四条  保護司会は、都道府県ごとに保護司会連合会を組織する。ただし、北海道にあつては、法務大臣が定める区域ごとに組織するものとする。

2  保護司会連合会は、次に掲げる事務を行うことを任務とする。

一  保護司会の任務に関する連絡及び調整

二  保護司の職務に関し必要な資料及び情報の収集

三  保護司の職務に関する研究及び意見の発表

四  その他保護司の職務又は保護司会の任務の円滑かつ効果的な遂行を図るために必要な事項で法務省令で定めるもの

(保護司会等に関し必要な事項の省令への委任)

第十五条  この法律に定めるもののほか、保護司会及び保護司会連合会に関し必要な事項は、法務省令で定める。

(表彰)

第十六条  法務大臣は、職務上特に功労がある保護司、保護司会及び保護司会連合会を表彰し、その業績を一般に周知させることに意を用いなければならない。

(地方公共団体の協力)

第十七条  地方公共団体は、保護司、保護司会及び保護司会連合会の活動が、犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるとともに犯罪を予防し、地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与するものであることにかんがみ、その地域において行われる保護司、保護司会及び保護司会連合会の活動に対して必要な協力をすることができる。

(省令への委任)

第十八条  この法律の実施のための手続、その他その執行について必要な細則は、法務省令で定める。

 

   附 則 抄 

1  この法律は、更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)の施行の日から施行する。

3  他の法令中「司法保護委員」とあるのは、「保護司」と読み替えるものとする。

 

 

保護司の選考に関する規則

平成13年1月6日法務省令第15号

最終改正:平成27年3月18日法務省令第8号 

 

 保護司法 (昭和二十五年法律第二百四号)第十八条 の規定に基づき、保護司の選考に関する規則の全部を改正する命令を次のように定める。

 

(保護司選考会の設置等)

第一条  保護司法 (昭和二十五年法律第二百四号。以下「法」という。)第五条第一項 の規定により保護観察所に置かれる保護司選考会(以下「選考会」という。)の名称及び選考地域は、別表のとおりとする。

(所掌事務)

第二条  選考会は、法第三条第四項 及び第十二条第三項 の規定により保護観察所の長の諮問に応じて保護司の委嘱及び解嘱に関する意見を述べる。

2  選考会は、前項のほか、保護区及び保護司の定数、保護司の人材確保その他保護司活動の充実強化に関し、保護観察所の長の諮問に応じて意見を述べることができる。

(委員)

第三条  選考会の委員は、次の各号に掲げる者のうちから、法務大臣が委嘱する。

一  地方裁判所長

二  家庭裁判所長

三  検事正

四  弁護士会長

五  矯正施設の長の代表

六  保護司代表

七  都道府県公安委員会委員長

八  都道府県教育委員会教育長

九  地方社会福祉審議会委員長

十  地方労働審議会会長

十一  学識経験者

2  前項第十一号に掲げる者である委員の任期は、二年とする。ただし、再任を妨げない。

3  委員は、非常勤とする。

(会長)

第四条  選考会の会長は、委員の互選により選任する。

2  会長は、会務を総理し、選考会を代表する。

3  会長に事故があるときは、あらかじめ委員のうちから互選された者が、その職務を代理する。

(会議)

第五条  会長は、保護司の委嘱又は解嘱につき諮問を受けたときは、速やかに委員を招集して会議を開催し、意見を答申しなければならない。

第六条  選考会は委員の過半数が出席しなければ、議事を開き、議決をすることができない。

2  選考会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

第七条  選考会の議事については、議事録を作り、出席した会長及び委員二人以上が署名捺印しなければならない。

(庶務)

第八条  選考会の庶務は、保護観察所企画調整課において処理する。

第九条  選考会に幹事一人を置く。

2  幹事は、保護観察所の企画調整課長をもって充て、会長の命を受けて庶務に従事する。

(推薦手続)

第十条  法第三条第三項 に規定する保護司の推薦は、別に定めるところにより保護観察所の長が保護司候補者推薦名簿を作成し、地方更生保護委員会を経由して、法務大臣に提出して行うものとする。

(解嘱手続)

第十一条  法第十二条第二項 の規定による解嘱については、前条を準用する。

 

   附 則 (略)

 

 

保護司会及び保護司会連合会に関する規則

平成11年1月19日法務省令第2号

最終改正:平成24年3月27日法務省令第9号

 

 保護司法 (昭和二十五年法律第二百四号)第八条の二第四号 、第十三条第二項第四号 、第十四条第二項第四号 、第十五条 及び第十八条 の規定に基づき、保護司会及び保護司会連合会に関する規則を次のように定める。

 

(保護司の従事する事務)

第一条  保護司法 (昭和二十五年法律第二百四号。以下「法」という。)第八条の二第四号 に規定する法務省令で定める活動は、次のとおりとする。

一  犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるために、その者を雇用する事業主の確保その他の雇用の促進を図る活動

二  犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるために、教育、医療又は福祉に関する公私の団体又は機関からの協力の促進を図る活動

三  犯罪の予防を図るために、公私の団体又は機関からの協力の促進を図る活動

四  犯罪の予防に寄与する公私の団体又は機関(地方公共団体を除く。)の施策又は活動への協力

五  犯罪の予防に関する事項について、住民からの相談に応じ、必要な助言その他の援助を行う活動

(計画の承認)

第二条  保護司会は、法第八条の二 及び第十三条第二項第一号 の規定に基づき、計画を策定し、これを保護観察所の長に提出して、保護司がその計画に定める事務を職務として行うことの承認を得ることができる。

2  前項の承認の申請は、保護司が従事する事務の内容を記載した書面により行うものとする。

3  保護観察所の長は、第一項の承認の申請があった場合において、当該申請に係る計画に定められた事務が次の各号に適合すると認めるときは、速やかにその承認をするものとする。

一  法第八条の二 各号の一又は二以上に該当するものであって当該保護観察所の所掌に属する事務であること。

二  その地域の実情に照らしてふさわしいものであること。

三  保護司に過重な負担を課するものでないこと。

(実施結果の報告)

第三条  保護司会は、前条の承認を得た計画を実施したときは、保護観察所の長にその結果について報告しなければならない。

(保護司会の任務)

第四条  法第十三条第二項第四号 に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。

一  保護司の職務に関する研修

二  保護司及び保護司会の活動に関する広報宣伝

三  保護司の人材確保の促進に関する活動

四  保護司の職務遂行に関し災害が発生した場合の救済に関すること(国家公務員災害補償法 (昭和二十六年法律第百九十一号)に基づくものを除く。)。

(保護司会の会則)

第五条  保護司会は、会則を定めなければならない。

2  保護司会の会則には、次の事項を記載しなければならない。

一  名称

二  事務所の所在地

三  会員に関する事項

四  役員に関する事項

五  会議に関する事項

六  会計に関する事項

七  会則の変更に関する事項

(会則の届出)

第六条  保護司会は、会則を定め、又は変更したときは、速やかに保護観察所の長に届け出なければならない。

(保護司会の名称)

第七条  保護司会の名称は、当該保護司会が所在する保護区の名称を冠する。

(保護司会の会員)

第八条  保護司は、その置かれた保護区に組織される保護司会の会員となる。

(保護司会の役員)

第九条  保護司会に、会長、副会長及び会則で定めるその他の役員を置く。

2  会長は、保護司会を代表し、その会務を総理する。

3  副会長は、会則の定めるところにより、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理し、会長が欠員のときは、その職務を行う。

(報告又は資料の提出)

第十条  地方更生保護委員会又は保護観察所の長は、保護司会の適正な運営を確保するため、当該保護司会に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。

(勧告)

第十一条  地方更生保護委員会又は保護観察所の長は、保護司会の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該保護司会に対し、必要な措置を採るべきことを勧告することができる。

2  保護観察所の長は、前項の勧告をする際には、あらかじめ地方更生保護委員会の意見を聞かなければならない。

(保護司会連合会の区域)

第十二条  法第十四条第一項 ただし書に規定する北海道において保護司会連合会を組織する区域は、保護観察所の管轄区域とする。

(保護司会連合会の任務)

第十三条  法第十四条第二項第四号 に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。

一  保護司の職務に関する研修

二  保護司、保護司会及び保護司会連合会の活動に関する広報宣伝

三  保護司の人材確保の促進に関する活動

四  保護司の職務遂行に関し災害が発生した場合の救済に関すること(国家公務員災害補償法 (昭和二十六年法律第百九十一号)に基づくものを除く。)。

(保護司会連合会の名称)

第十四条  保護司会連合会の名称は、当該保護司会連合会が所在する都道府県の名称を冠する。ただし、北海道にあっては、当該保護司会連合会が所在する区域を管轄する保護観察所の名称を冠する。

(保護司会連合会の会員)

第十五条  保護司会は、その所在する都道府県(北海道にあっては、保護観察所の管轄区域とする。)に組織される保護司会連合会の会員となる。

(保護司会に関する規定の準用)

第十六条  第五条、第六条及び第九条から第十一条までの規定は、保護司会連合会に準用する。

 

   附 則 (略)

 

 

保護区及び保護区ごとの保護司の定数に関する規則

昭和48年3月20日法務省令第22号

最終改正:平成28年4月1日法務省令第30号

 

 保護司法 (昭和二十五年法律第二百四号)第十四条 の規定に基づき、保護区及び保護区ごとの保護司の定数に関する規則を次のように定める。

 

(この規則の趣旨)

第一条  保護司法 (以下「法」という。)第二条 に規定する保護区及び保護区ごとの保護司の定数については、この規則の定めるところによる。

(権限の委任)

第二条  次の各号に掲げる法務大臣の権限は、法第二条第四項 の規定に基づき、その保護区の区域を管轄する地方更生保護委員会(以下「地方委員会」という。)に委任する。

一  法第二条第一項 の規定による保護区を定める権限

二  法第二条第三項 の規定による保護区ごとの保護司の定数を定める権限

(保護区の区域)

第三条  保護区の区域は、特別の事情がないかぎり、一又は二以上の市町村(特別区を含む。)の区域をもつて定めるものとする。この場合において、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の二十第一項 の規定による指定都市の区又は同法第二百五十二条の二十の二第一項 の規定による指定都市の総合区は、市とみなす。

(地方委員会ごとの保護司の定数)

第四条  地方委員会は、保護区ごとの保護司の定数を定めるにあたつては、別表上欄に掲げる地方委員会ごとに同表下欄に掲げる保護司の定数をこえないものとする。

2  別表上欄に掲げる地方委員会は、別表下欄に掲げる保護司の定数を変更する必要が生じたと認めるときは、法務大臣に対し、書面をもつてその旨を申し出るものとする。

(保護観察所の長の申出)

第五条  保護観察所の長は、その管轄区域内の保護区又は保護区ごとの保護司の定数を変更する必要が生じたと認めるときは、地方委員会に対し、書面をもつてその旨を申し出るものとする。

(地方委員会の決定)

第六条  地方委員会は、前条の申出があつた場合には、保護区又は保護区ごとの保護司の定数を変更するかどうかの決定をしなければならない。

2  地方委員会は、前条の申出がない場合においても、特に必要があると認めるときは、前項の決定をすることができる。この場合には、その保護区の区域を管轄する保護観察所の長の意見を聞かなければならない。

(決定の通知)

第七条  地方委員会は、前条の規定により決定をしたときは、その保護区の区域を管轄する保護観察所の長に対し、書面をもつてその旨を通知しなければならない。

(報告)

第八条  地方委員会は、毎年一月に、法務大臣に対し、前年におけるその管轄区域内の保護区及び保護区ごとの保護司の定数の変更の状況を書面をもつて報告しなければならない。

 

   附 則(略)  

別表 

地方委員会 保護司の定数

北海道地方更生保護委員会 三、五六〇

東北地方更生保護委員会 四、四九五

関東地方更生保護委員会 一六、二八五

中部地方更生保護委員会 五、五三五

近畿地方更生保護委員会 八、五六五

中国地方更生保護委員会 四、一三〇

四国地方更生保護委員会 二、五〇〇 

九州地方更生保護委員会 七、四三〇

 

 保護司実費弁償金支給規則

昭和29年4月24日法務省令第47号)

最終改正年月日:平成26年4月1日法務省令第14号

 保護司法(昭和二十五年法律第二百四号)第十一条第二項の規定に基き、保護司実費弁償金支給規則を次のように定める。

 

(この規則の趣旨)

第一条 保護司法第十一条第二項の規定により、保護司に支給すべき費用については、この規則の定めるところによる。

(補導費)

第二条 保護司が保護観察を担当したときは、担当事件一件につき一箇月七千五百二十円以内の費用を支給する。

(生活環境調整費)

第三条 保護司が保護観察所長から生活環境の調整又は保護観察に関する調査(以下「生活環境調整等」という。)を命ぜられ、その結果を報告したときは、一件につき三千三百七十円以内の費用を支給する。ただし、生活環境調整等の場所が保護司の居住地から片道八キロメートル以上の場合には、これに要した旅行実費を支給する。

(特殊事務処理費)

第四条 保護司が保護観察所長から裁判所、検察庁等との連絡その他特殊の事務を処理するものとしてあらかじめ指名を受け、その事務を処理したときは、一日六千六百円以内の費用を支給する。

(その他の費用)

第五条 保護司が前三条に掲げる職務以外の職務を行う場合においても、保護観察所長が必要と認めこれを命じたときは、その職務を行うために要する実費を支給することができる。

(旅行実費の算出)

第六条 第三条及び前条の旅行実費の算出については、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)の規定により行うものとし、職務の級については、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第六条第一項第一号イに規定する行政職俸給表(一)による二級から五級までの間において、各保護司につき、別に法務大臣が定める職務の級にあるものとして計算する。

  附 則(略)

 

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更生保護関係法令

更生保護法

平成19年6月15日法律第88号

目次

第一章 総則

第一節 目的等 (第一条―第三条)

第二節 中央更生保護審査会 (第四条―第十五条)

第三節 地方更生保護委員会 (第十六条―第二十八条)

第四節 保護観察所 (第二十九条・第三十条)

第五節 保護観察官及び保護司 (第三十一条・第三十二条)

第二章 仮釈放等

第一節 仮釈放及び仮出場 (第三十三条―第四十条)

第二節 少年院からの仮退院 (第四十一条・第四十二条)

第三節 収容中の者の不定期刑の終了 (第四十三条―第四十五条)

第四節 収容中の者の退院 (第四十六条・第四十七条)

第三章 保護観察

第一節 通則 (第四十八条―第六十五条)

第二節 保護観察処分少年 (第六十六条―第七十条)

第三節 少年院仮退院者 (第七十一条―第七十四条)

第四節 仮釈放者 (第七十五条―第七十八条)

第五節 保護観察付執行猶予者 (第七十九条―第八十一条)

第四章 生活環境の調整 (第八十二条―第八十四条)

第五章 更生緊急保護等

第一節 更生緊急保護 (第八十五条―第八十七条)

第二節 刑執行停止中の者に対する措置 (第八十八条)

第六章 恩赦の申出 (第八十九条・第九十条)

第七章 審査請求等

第一節 行政手続法の適用除外 (第九十一条)

第二節 審査請求 (第九十二条―第九十六条)

第八章 雑則 (第九十七条―第九十九条)

附則

第一章 総則

第一節 目的等

(目的)

第一条 この法律は、犯罪をした者及び非行のある少年に対し、社会内において適切な処遇を行うことにより、再び犯罪をすることを防ぎ、又はその非行をなくし、これらの者が善良な社会の一員として自立し、改善更生することを助けるとともに、恩赦の適正な運用を図るほか、犯罪予防の活動の促進等を行い、もって、社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進することを目的とする。

(国の責務等)

第二条 国は、前条の目的の実現に資する活動であって民間の団体又は個人により自発的に行われるものを促進し、これらの者と連携協力するとともに、更生保護に対する国民の理解を深め、かつ、その協力を得るように努めなければならない。

2 地方公共団体は、前項の活動が地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与するものであることにかんがみ、これに対して必要な協力をすることができる。

3 国民は、前条の目的を達成するため、その地位と能力に応じた寄与をするように努めなければならない。

(運用の基準)

第三条 犯罪をした者又は非行のある少年に対してこの法律の規定によりとる措置は、当該措置を受ける者の性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係等を十分に考慮して、その者に最もふさわしい方法により、その改善更生のために必要かつ相当な限度において行うものとする。

第二節 中央更生保護審査会

(設置及び所掌事務)

第四条 法務省に、中央更生保護審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会は、次に掲げる事務をつかさどる。

一 特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除又は特定の者に対する復権の実施についての申出をすること。

二 地方更生保護委員会がした決定について、この法律及び行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)の定めるところにより、審査を行い、裁決をすること。

三 前二号に掲げるもののほか、この法律又は他の法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。

(審査会の組織)

第五条 審査会は、委員長及び委員四人をもって組織する。

(委員長及び委員の任命)

第六条 委員長及び委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、法務大臣が任命する。

2 委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、法務大臣は、前項の規定にかかわらず、委員長又は委員を任命することができる。

3 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、法務大臣は、その委員長又は委員を罷免しなければならない。

4 委員長及び委員の任命については、そのうち三人以上が同一の政党に属する者となることとなってはならない。

(委員長及び委員の任期)

第七条 委員長及び委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(委員長及び委員の服務等)

第八条 委員のうち二人は、非常勤とする。

2 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

3 委員長及び常勤の委員は、在任中、法務大臣の許可がある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

4 委員長及び委員の給与は、別に法律で定める。

(委員長及び委員の罷免)

第九条 法務大臣は、委員長又は委員が破産手続開始の決定を受け、又は禁錮以上の刑に処せられたときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。

2 法務大臣は、委員長若しくは委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員長若しくは委員に職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるにふさわしくない非行があると認めるときは、両議院の同意を得て、その委員長又は委員を罷免することができる。

3 法務大臣は、委員長及び委員のうち三人以上が同一の政党に属することとなったときは、同一の政党に属する者が二人になるように、両議院の同意を得て、委員長又は委員を罷免するものとする。

4 前項の規定は、政党所属関係に異動のなかった委員長又は委員の地位に影響を及ぼすものではない。

(委員長)

第十条 委員長は、会務を総理し、審査会を代表する。

2 委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長が定める順序により、常勤の委員が委員長の職務を行う。

(会議等)

第十一条 審査会は、委員長が招集する。

2 審査会は、委員長及び半数以上の委員の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。

3 審査会の議事は、出席者の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

4 審査会がその権能として行う調査又は第四条第二項第二号に規定する審査のための審理は、審査会の指名により、委員長又は一人の委員で行うことができる。

5 委員長に事故がある場合における第二項の規定の適用については、前条第二項の規定により委員長の職務を行う常勤の委員は、委員長とみなす。

(審問)

第十二条 審査会は、その所掌事務に属する事項の調査において、必要があると認めるときは、法務省令で定めるところにより、関係人を呼び出し、審問することができる。

2 前項の規定による呼出しに応じないため再度同項の規定による呼出しを受けた者が、正当な理由がないのにこれに応じないときは、十万円以下の過料に処する。

3 第一項の規定による呼出しに応じた者に対しては、政令で定めるところにより、旅費、日当及び宿泊料を支給する。ただし、正当な理由がないのに陳述を拒んだ者に対しては、この限りでない。

(記録等の提出の求め)

第十三条 審査会は、その所掌事務に属する事項の調査において、必要があると認めるときは、裁判所、検察官、刑事施設の長、少年院の長、婦人補導院の長、地方更生保護委員会及び保護観察所の長に対し、記録、書類、意見書及び報告書の提出を求めることができる。

(協力の求め)

第十四条 審査会は、その所掌事務を遂行するため、官公署、学校、病院、公共の衛生福祉に関する機関その他の者に対し、必要な協力を求めることができる。

(政令への委任)

第十五条 第四条から第十一条までに規定するもののほか、審査会の組織に関し必要な事項は、政令で定める。

第三節 地方更生保護委員会

(所掌事務)

第十六条 地方更生保護委員会(以下「地方委員会」という。)は、次に掲げる事務をつかさどる。

一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十八条の行政官庁として、仮釈放を許し、又はその処分を取り消すこと。

二 刑法第三十条の行政官庁として、仮出場を許すこと。

三 少年院からの仮退院又は退院を許すこと。

四 少年院からの仮退院中の者について、少年院に戻して収容する旨の決定の申請をすること。

五 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十二条第一項及び第二項の規定により言い渡された刑(以下「不定期刑」という。)について、その執行を受け終わったものとする処分をすること。

六 刑法第二十五条の二第二項の行政官庁として、保護観察を仮に解除し、又はその処分を取り消すこと。

七 婦人補導院からの仮退院を許し、又はその処分を取り消すこと。

八 保護観察所の事務を監督すること。

九 前各号に掲げるもののほか、この法律又は他の法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。

(地方委員会の組織)

第十七条 地方委員会は、三人以上政令で定める人数以内の委員をもって組織する。

(委員の任期)

第十八条 委員の任期は、三年とする。

(委員長)

第十九条 地方委員会に、委員長を置く。委員長は、委員のうちから法務大臣が命ずる。

2 委員長は、会務を総理し、その地方委員会を代表する。

3 委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長が定める順序により、他の委員が委員長の職務を行う。

(事務局)

第二十条 地方委員会に、事務局を置く。

2 事務局の内部組織は、法務省令で定める。

(委員会議)

第二十一条 地方委員会の所掌事務の処理は、第二十三条第一項の規定により三人の委員をもって構成する合議体で権限を行う場合その他法令に特別の定めがある場合を除き、委員の全員をもって構成する会議の議決による。

2 前項の会議は、委員長が招集する。

3 第一項の会議は、委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。

4 第一項の会議の議事は、出席者の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。ただし、五人未満の委員をもって組織される地方委員会において、出席者が二人であるときは、その意見の一致したところによる。

(記録等の提出の求めに関する規定の準用)

第二十二条 第十三条の規定は、前条第一項の会議の調査について準用する。この場合において、第十三条中「、地方更生保護委員会及び保護観察所の長」とあるのは、「及び保護観察所の長」と読み替えるものとする。

(合議体)

第二十三条 地方委員会は、次に掲げる事項については、三人の委員をもって構成する合議体で、その権限を行う。

一 この法律又は他の法律の規定により決定をもってすることとされている処分

二 第三十五条第一項(第四十二条及び売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第二十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定による審理の開始に係る判断

三 第三十九条第四項(第四十二条及び売春防止法第二十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定による審理の再開に係る判断

四 第七十一条の規定による申請

2 前項の合議体の議事は、その構成員の過半数で決する。

3 第一項の合議体がその権能として行う調査は、その構成員である委員又は保護観察官をして行わせることができる。

(合議体による審理)

第二十四条 前条第一項の合議体は、同項第一号に掲げる処分又は同項第四号に掲げる申請をするか否かを判断するには、審理を行わなければならない。

(審理における調査)

第二十五条 第二十三条第一項の合議体は、前条の審理において必要があると認めるときは、審理の対象とされている者(以下「審理対象者」という。)との面接、関係人に対する質問その他の方法により、調査を行うことができる。

2 前項の調査を行う者は、その事務所以外の場所において当該調査を行う場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第十二条及び第十三条の規定は、第一項の調査について準用する。この場合において、同条中「、地方更生保護委員会及び保護観察所の長」とあるのは、「及び保護観察所の長」と読み替えるものとする。

4 前項において準用する第十二条第一項の規定による呼出し及び審問は、第二十三条第三項の規定にかかわらず、保護観察官をして行わせることができない。

(決定書)

第二十六条 第二十三条第一項の合議体の決定は、決定書を作成してしなければならない。

(決定の告知)

第二十七条 前条の決定は、当該決定の対象とされた者に対し、これを告知することによって、その効力を生ずる。

2 前項の決定の告知は、その対象とされた者に対して当該決定を言い渡し、又は相当と認める方法により決定書の謄本をその者に送付して、行うものとする。ただし、急速を要するときは、法務省令で定める方法によることができる。

3 第一項の決定の対象とされた者が刑事施設に収容され、若しくは労役場に留置されている場合又は少年院若しくは婦人補導院に収容されている場合において、決定書の謄本を当該刑事施設(労役場に留置されている場合には、当該労役場が附置された刑事施設)の長、少年院の長又は婦人補導院の長に送付したときは、当該決定の対象とされた者に対する送付があったものとみなす。

4 決定書の謄本を、第一項の決定の対象とされた者が第五十条第四号(売春防止法第二十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定により居住すべき住居(第五十一条第二項第五号(同法第二十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定により宿泊すべき特定の場所が定められている場合には、当該場所)にあてて、書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして法務大臣が定めるものに付して発送した場合においては、その発送の日から五日を経過した日に当該決定の対象とされた者に対する送付があったものとみなす。

(協力の求めに関する規定の準用)

第二十八条 第十四条の規定は、地方委員会について準用する。

第四節 保護観察所

(所掌事務)

第二十九条 保護観察所は、次に掲げる事務をつかさどる。

一 この法律及び売春防止法の定めるところにより、保護観察を実施すること。

二 犯罪の予防を図るため、世論を啓発し、社会環境の改善に努め、及び地域住民の活動を促進すること。

三 前二号に掲げるもののほか、この法律その他の法令によりその権限に属させられた事項を処理すること。

(協力等の求め)

第三十条 保護観察所の長は、その所掌事務を遂行するため、官公署、学校、病院、公共の衛生福祉に関する機関その他の者に対し、必要な援助及び協力を求めることができる。

第五節 保護観察官及び保護司

(保護観察官)

第三十一条 地方委員会の事務局及び保護観察所に、保護観察官を置く。

2 保護観察官は、医学、心理学、教育学、社会学その他の更生保護に関する専門的知識に基づき、保護観察、調査、生活環境の調整その他犯罪をした者及び非行のある少年の更生保護並びに犯罪の予防に関する事務に従事する。

(保護司)

第三十二条 保護司は、保護観察官で十分でないところを補い、地方委員会又は保護観察所の長の指揮監督を受けて、保護司法(昭和二十五年法律第二百四号)の定めるところに従い、それぞれ地方委員会又は保護観察所の所掌事務に従事するものとする。

第二章 仮釈放等

第一節 仮釈放及び仮出場

(法定期間経過の通告)

第三十三条 刑事施設の長又は少年院の長は、懲役又は禁錮の刑の執行のため収容している者について、刑法第二十八条又は少年法第五十八条第一項に規定する期間が経過したときは、その旨を地方委員会に通告しなければならない。

(仮釈放及び仮出場の申出)

第三十四条 刑事施設の長又は少年院の長は、懲役又は禁錮の刑の執行のため収容している者について、前条の期間が経過し、かつ、法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方委員会に対し、仮釈放を許すべき旨の申出をしなければならない。

2 刑事施設の長は、拘留の刑の執行のため収容している者又は労役場に留置している者について、法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方委員会に対し、仮出場を許すべき旨の申出をしなければならない。

(申出によらない審理の開始等)

第三十五条 地方委員会は、前条の申出がない場合であっても、必要があると認めるときは、仮釈放又は仮出場を許すか否かに関する審理を開始することができる。

2 地方委員会は、前項の規定により審理を開始するに当たっては、あらかじめ、審理の対象となるべき者が収容されている刑事施設(労役場に留置されている場合には、当該労役場が附置された刑事施設)の長又は少年院の長の意見を聴かなければならない。

第三十六条 地方委員会は、前条第一項の規定により審理を開始するか否かを判断するため必要があると認めるときは、審理の対象となるべき者との面接、関係人に対する質問その他の方法により、調査を行うことができる。

2 前項の調査を行うに当たっては、審理の対象となるべき者が収容されている刑事施設(労役場に留置されている場合には、当該労役場が附置された刑事施設)又は少年院の職員から参考となる事項について聴取し、及びこれらの者に面接への立会いその他の協力を求めることができる。

3 第十三条及び第二十五条第二項の規定は、第一項の調査について準用する。この場合において、第十三条中「、地方更生保護委員会及び保護観察所の長」とあるのは、「及び保護観察所の長」と読み替えるものとする。

(仮釈放の審理における委員による面接等)

第三十七条 地方委員会は、仮釈放を許すか否かに関する審理においては、その構成員である委員をして、審理対象者と面接させなければならない。ただし、その者の重い疾病若しくは傷害により面接を行うことが困難であると認められるとき又は法務省令で定める場合であって面接の必要がないと認められるときは、この限りでない。

2 地方委員会は、仮釈放を許すか否かに関する審理において必要があると認めるときは、審理対象者について、保護観察所の長に対し、事項を定めて、第八十二条の規定による生活環境の調整を行うことを求めることができる。

3 前条第二項の規定は、仮釈放を許すか否かに関する審理における調査について準用する。

(被害者等の意見等の聴取)

第三十八条 地方委員会は、仮釈放を許すか否かに関する審理を行うに当たり、法務省令で定めるところにより、被害者等(審理対象者が刑を言い渡される理由となった犯罪により害を被った者(以下この項において「被害者」という。)又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。次項において同じ。)から、審理対象者の仮釈放に関する意見及び被害に関する心情(以下この条において「意見等」という。)を述べたい旨の申出があったときは、当該意見等を聴取するものとする。ただし、当該被害に係る事件の性質、審理の状況その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。

2 地方委員会は、被害者等の居住地を管轄する保護観察所の長に対し、前項の申出の受理に関する事務及び同項の意見等の聴取を円滑に実施するための事務を嘱託することができる。

(仮釈放及び仮出場を許す処分)

第三十九条 刑法第二十八条の規定による仮釈放を許す処分及び同法第三十条の規定による仮出場を許す処分は、地方委員会の決定をもってするものとする。

2 地方委員会は、仮釈放又は仮出場を許す処分をするに当たっては、釈放すべき日を定めなければならない。

3 地方委員会は、仮釈放を許す処分をするに当たっては、第五十一条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定める場合その他特別の事情がある場合を除き、第八十二条の規定による住居の調整の結果に基づき、仮釈放を許される者が居住すべき住居を特定するものとする。

4 地方委員会は、第一項の決定をした場合において、当該決定を受けた者について、その釈放までの間に、刑事施設の規律及び秩序を害する行為をしたこと、予定されていた釈放後の住居、就業先その他の生活環境に著しい変化が生じたことその他その釈放が相当でないと認められる特別の事情が生じたと認めるときは、仮釈放又は仮出場を許すか否かに関する審理を再開しなければならない。この場合においては、当該決定は、その効力を失う。

5 第三十六条の規定は、前項の規定による審理の再開に係る判断について準用する。

(仮釈放中の保護観察)

第四十条 仮釈放を許された者は、仮釈放の期間中、保護観察に付する。

第二節 少年院からの仮退院

(仮退院を許す処分)

第四十一条 地方委員会は、保護処分の執行のため少年院に収容されている者について、処遇の最高段階に達し、仮に退院させることが改善更生のために相当であると認めるとき、その他仮に退院させることが改善更生のために特に必要であると認めるときは、決定をもって、仮退院を許すものとする。

(準用)

第四十二条 第三十五条から第三十八条まで、第三十九条第二項から第五項まで及び第四十条の規定は、少年院からの仮退院について準用する。この場合において、第三十五条第一項中「前条」とあるのは「少年院法(昭和二十三年法律第百六十九号)第十二条第二項」と、第三十八条第一項中「刑」とあるのは「保護処分」と、「犯罪」とあるのは「犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為」と読み替えるものとする。

第三節 収容中の者の不定期刑の終了

(刑事施設等に収容中の者の不定期刑の終了の申出)

第四十三条 刑事施設の長又は少年院の長は、不定期刑の執行のため収容している者について、その刑の短期が経過し、かつ、刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、地方委員会に対し、刑の執行を受け終わったものとすべき旨の申出をしなければならない。

(刑事施設等に収容中の者の不定期刑の終了の処分)

第四十四条 地方委員会は、前条に規定する者について、同条の申出があった場合において、刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、決定をもって、刑の執行を受け終わったものとしなければならない。

2 地方委員会は、前項の決定をしたときは、速やかに、その対象とされた者が収容されている刑事施設の長又は少年院の長に対し、その旨を書面で通知するとともに、当該決定を受けた者に対し、当該決定をした旨の証明書を交付しなければならない。

3 第一項の決定の対象とされた者の刑期は、前項の通知が刑事施設又は少年院に到達した日に終了するものとする。

(準用)

第四十五条 第三十七条の規定は、前条第一項の決定をするか否かに関する審理について準用する。

第四節 収容中の者の退院

(少年院に収容中の者の退院を許す処分)

第四十六条 地方委員会は、保護処分の執行のため少年院に収容されている者について、少年院の長の申出があった場合において、退院を相当と認めるとき(二十三歳を超えて少年院に収容されている者については、少年院法(昭和二十三年法律第百六十九号)第十一条第五項に規定する事由に該当しなくなったと認めるときその他退院を相当と認めるとき)は、決定をもって、これを許さなければならない。

2 地方委員会は、前項の決定をしたときは、当該決定を受けた者に対し、当該決定をした旨の証明書を交付しなければならない。

(準用)

第四十七条 第三十七条の規定は、前条第一項の決定をするか否かに関する審理について準用する。

第三章 保護観察

第一節 通則

(保護観察の対象者)

第四十八条 次に掲げる者(以下「保護観察対象者」という。)に対する保護観察の実施については、この章の定めるところによる。

一 少年法第二十四条第一項第一号の保護処分に付されている者(以下「保護観察処分少年」という。)

二 少年院からの仮退院を許されて第四十二条において準用する第四十条の規定により保護観察に付されている者(以下「少年院仮退院者」という。)

三 仮釈放を許されて第四十条の規定により保護観察に付されている者(以下「仮釈放者」という。)

四 刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付されている者(以下「保護観察付執行猶予者」という。)

(保護観察の実施方法)

第四十九条 保護観察は、保護観察対象者の改善更生を図ることを目的として、第五十七条に規定する指導監督及び第五十八条に規定する補導援護を行うことにより実施するものとする。

2 保護観察処分少年又は少年院仮退院者に対する保護観察は、保護処分の趣旨を踏まえ、その者の健全な育成を期して実施しなければならない。

(一般遵守事項)

第五十条 保護観察対象者は、次に掲げる事項(以下「一般遵守事項」という。)を遵守しなければならない。

一 再び犯罪をすることがないよう、又は非行をなくすよう健全な生活態度を保持すること。

二 次に掲げる事項を守り、保護観察官及び保護司による指導監督を誠実に受けること。

イ 保護観察官又は保護司の呼出し又は訪問を受けたときは、これに応じ、面接を受けること。

ロ 保護観察官又は保護司から、労働又は通学の状況、収入又は支出の状況、家庭環境、交友関係その他の生活の実態を示す事実であって指導監督を行うため把握すべきものを明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実を申告し、又はこれに関する資料を提示すること。

三 保護観察に付されたときは、速やかに、住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長にその届出をすること(第三十九条第三項(第四十二条において準用する場合を含む。次号において同じ。)の規定により住居を特定された場合及び次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除く。)。

四 前号の届出に係る住居(第三十九条第三項の規定により住居を特定された場合には当該住居、次号の転居の許可を受けた場合には当該許可に係る住居)に居住すること(次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除く。)。

五 転居又は七日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を受けること。

(特別遵守事項)

第五十一条 保護観察対象者は、一般遵守事項のほか、遵守すべき特別の事項(以下「特別遵守事項」という。)が定められたときは、これを遵守しなければならない。

2 特別遵守事項は、次条の定めるところにより、これに違反した場合に第七十二条第一項、刑法第二十六条の二及び第二十九条第一項並びに少年法第二十六条の四第一項に規定する処分がされることがあることを踏まえ、次に掲げる事項について、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において、具体的に定めるものとする。

一 犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度の飲酒その他の犯罪又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと。

二 労働に従事すること、通学することその他の再び犯罪をすることがなく又は非行のない健全な生活態度を保持するために必要と認められる特定の行動を実行し、又は継続すること。

三 七日未満の旅行、離職、身分関係の異動その他の指導監督を行うため事前に把握しておくことが特に重要と認められる生活上又は身分上の特定の事項について、緊急の場合を除き、あらかじめ、保護観察官又は保護司に申告すること。

四 医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を改善するための体系化された手順による処遇として法務大臣が定めるものを受けること。

五 法務大臣が指定する施設、保護観察対象者を監護すべき者の居宅その他の改善更生のために適当と認められる特定の場所であって、宿泊の用に供されるものに一定の期間宿泊して指導監督を受けること。

六 その他指導監督を行うため特に必要な事項

(特別遵守事項の設定及び変更)

第五十二条 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、法務省令で定めるところにより、少年法第二十四条第一項第一号の保護処分をした家庭裁判所の意見を聴き、これに基づいて、特別遵守事項を定めることができる。これを変更するときも、同様とする。

2 地方委員会は、少年院仮退院者又は仮釈放者について、保護観察所の長の申出により、法務省令で定めるところにより、決定をもって、特別遵守事項を定めることができる。保護観察所の長の申出により、これを変更するときも、同様とする。

3 前項の場合において、少年院からの仮退院又は仮釈放を許す旨の決定による釈放の時までに特別遵守事項を定め、又は変更するときは、保護観察所の長の申出を要しないものとする。

4 保護観察所の長は、保護観察付執行猶予者について、その保護観察の開始に際し、法務省令で定めるところにより、刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しをした裁判所の意見を聴き、これに基づいて、特別遵守事項を定めることができる。

5 保護観察所の長は、前項の場合のほか、保護観察付執行猶予者について、法務省令で定めるところにより、当該保護観察所の所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所に対し、定めようとする又は変更しようとする特別遵守事項の内容を示すとともに、必要な資料を提示して、その意見を聴いた上、特別遵守事項を定め、又は変更することができる。ただし、当該裁判所が不相当とする旨の意見を述べたものについては、この限りでない。

(特別遵守事項の取消し)

第五十三条 保護観察所の長は、保護観察処分少年又は保護観察付執行猶予者について定められている特別遵守事項につき、必要がなくなったと認めるときは、法務省令で定めるところにより、これを取り消すものとする。

2 地方委員会は、保護観察所の長の申出により、少年院仮退院者又は仮釈放者について定められている特別遵守事項につき、必要がなくなったと認めるときは、法務省令で定めるところにより、決定をもって、これを取り消すものとする。

3 前条第三項の規定は、前項の規定により特別遵守事項を取り消す場合について準用する。

(一般遵守事項の通知)

第五十四条 保護観察所の長は、少年法第二十四条第一項第一号の保護処分があったとき又は刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しがあったときは、法務省令で定めるところにより、保護観察処分少年又は保護観察付執行猶予者に対し、一般遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならない。

2 刑事施設の長又は少年院の長は、第三十九条第一項又は第四十一条の決定により、懲役若しくは禁錮の刑又は保護処分の執行のため収容している者を釈放するときは、法務省令で定めるところにより、その者に対し、一般遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならない。

(特別遵守事項の通知)

第五十五条 保護観察所の長は、保護観察対象者について、特別遵守事項が定められ、又は変更されたときは、法務省令で定めるところにより、当該保護観察対象者に対し、当該特別遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならない。ただし、次項に規定する場合については、この限りでない。

2 刑事施設の長又は少年院の長は、懲役若しくは禁錮の刑又は保護処分の執行のため収容している者について、第三十九条第一項又は第四十一条の決定による釈放の時までに特別遵守事項が定められたときは、法務省令で定めるところにより、その釈放の時に当該特別遵守事項(釈放の時までに変更された場合には、変更後のもの)の内容を記載した書面を交付しなければならない。ただし、その釈放の時までに当該特別遵守事項が取り消されたときは、この限りでない。

(生活行動指針)

第五十六条 保護観察所の長は、保護観察対象者について、保護観察における指導監督を適切に行うため必要があると認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該保護観察対象者の改善更生に資する生活又は行動の指針(以下「生活行動指針」という。)を定めることができる。

2 保護観察所の長は、前項の規定により生活行動指針を定めたときは、法務省令で定めるところにより、保護観察対象者に対し、当該生活行動指針の内容を記載した書面を交付しなければならない。

3 保護観察対象者は、第一項の規定により生活行動指針が定められたときは、これに即して生活し、及び行動するよう努めなければならない。

(指導監督の方法)

第五十七条 保護観察における指導監督は、次に掲げる方法によって行うものとする。

一 面接その他の適当な方法により保護観察対象者と接触を保ち、その行状を把握すること。

二 保護観察対象者が一般遵守事項及び特別遵守事項(以下「遵守事項」という。)を遵守し、並びに生活行動指針に即して生活し、及び行動するよう、必要な指示その他の措置をとること。

三 特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること。

2 保護観察所の長は、前項の指導監督を適切に行うため特に必要があると認めるときは、保護観察対象者に対し、当該指導監督に適した宿泊場所を供与することができる。

(補導援護の方法)

第五十八条 保護観察における補導援護は、保護観察対象者が自立した生活を営むことができるようにするため、その自助の責任を踏まえつつ、次に掲げる方法によって行うものとする。

一 適切な住居その他の宿泊場所を得ること及び当該宿泊場所に帰住することを助けること。

二 医療及び療養を受けることを助けること。

三 職業を補導し、及び就職を助けること。

四 教養訓練の手段を得ることを助けること。

五 生活環境を改善し、及び調整すること。

六 社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと。

七 前各号に掲げるもののほか、保護観察対象者が健全な社会生活を営むために必要な助言その他の措置をとること。

(保護者に対する措置)

第五十九条 保護観察所の長は、必要があると認めるときは、保護観察に付されている少年(少年法第二条第一項に規定する少年であって、保護観察処分少年又は少年院仮退院者に限る。)の保護者(同条第二項に規定する保護者をいう。)に対し、その少年の監護に関する責任を自覚させ、その改善更生に資するため、指導、助言その他の適当な措置をとることができる。

(保護観察の管轄)

第六十条 保護観察は、保護観察対象者の居住地(住居がないか、又は明らかでないときは、現在地又は明らかである最後の居住地若しくは所在地)を管轄する保護観察所がつかさどる。

(保護観察の実施者)

第六十一条 保護観察における指導監督及び補導援護は、保護観察対象者の特性、とるべき措置の内容その他の事情を勘案し、保護観察官又は保護司をして行わせるものとする。

2 前項の補導援護は、保護観察対象者の改善更生を図るため有効かつ適切であると認められる場合には、更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行うことができる。

(応急の救護)

第六十二条 保護観察所の長は、保護観察対象者が、適切な医療、食事、住居その他の健全な社会生活を営むために必要な手段を得ることができないため、その改善更生が妨げられるおそれがある場合には、当該保護観察対象者が公共の衛生福祉に関する機関その他の機関からその目的の範囲内で必要な応急の救護を得られるよう、これを援護しなければならない。

2 前項の規定による援護によっては必要な応急の救護が得られない場合には、保護観察所の長は、予算の範囲内で、自らその救護を行うものとする。

3 前項の救護は、更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行うことができる。

4 保護観察所の長は、第一項又は第二項の規定による措置をとるに当たっては、保護観察対象者の自助の責任の自覚を損なわないよう配慮しなければならない。

(出頭の命令及び引致)

第六十三条 地方委員会又は保護観察所の長は、その職務を行うため必要があると認めるときは、保護観察対象者に対し、出頭を命ずることができる。

2 保護観察所の長は、保護観察対象者について、次の各号のいずれかに該当すると認める場合には、裁判官のあらかじめ発する引致状により、当該保護観察対象者を引致することができる。

一 正当な理由がないのに、第五十条第四号に規定する住居に居住しないとき(第五十一条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合には、当該場所に宿泊しないとき)。

二 遵守事項を遵守しなかったことを疑うに足りる十分な理由があり、かつ、正当な理由がないのに、前項の規定による出頭の命令に応ぜず、又は応じないおそれがあるとき。

3 地方委員会は、少年院仮退院者又は仮釈放者について、前項各号のいずれかに該当すると認める場合には、裁判官のあらかじめ発する引致状により、当該少年院仮退院者又は仮釈放者を引致することができる。

4 第二項の引致状は保護観察所の長の請求により、前項の引致状は地方委員会の請求により、その所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官が発する。

5 第二項又は第三項の引致状は、判事補が一人で発することができる。

6 第二項又は第三項の引致状は、保護観察官に執行させるものとする。ただし、保護観察官に執行させることが困難であるときは、警察官にその執行を嘱託することができる。

7 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第六十四条、第七十三条第一項前段及び第三項、第七十四条並びに第七十六条第一項本文及び第二項の規定(勾引に関する部分に限る。)は、第二項又は第三項の引致状及びこれらの規定による保護観察対象者の引致について準用する。この場合において、同法第六十四条第一項中「罪名、公訴事実の要旨」とあり、同法第七十三条第三項中「公訴事実の要旨」とあり、及び同法第七十六条第一項本文中「公訴事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨並びに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨」とあるのは「引致の理由」と、同法第六十四条第一項中「裁判長又は受命裁判官」とあるのは「裁判官」と、同法第七十四条中「刑事施設」とあるのは「刑事施設又は少年鑑別所」と、同法第七十六条第二項中「合議体の構成員又は裁判所書記」とあるのは「地方更生保護委員会が引致した場合においては委員又は保護観察官、保護観察所の長が引致した場合においては保護観察官」と読み替えるものとする。

8 第二項又は第三項の引致状により引致された者については、引致すべき場所に引致された時から二十四時間以内に釈放しなければならない。ただし、その時間内に第七十三条第一項、第七十六条第一項又は第八十条第一項の規定によりその者が留置されたときは、この限りでない。

9 地方委員会が行う第一項の規定による命令、第三項の規定による引致に係る判断及び前項本文の規定による釈放に係る判断は、三人の委員をもって構成する合議体(第七十一条の規定による申請、第七十五条第一項の決定又は第八十一条第五項の規定による決定をするか否かに関する審理の開始後においては、当該審理を担当する合議体)で行う。ただし、前項本文の規定による釈放に係る地方委員会の判断については、急速を要するときは、あらかじめ地方委員会が指名する一人の委員で行うことができる。

10 第十三条、第二十三条第三項並びに第二十五条第一項及び第二項の規定は前項に規定する措置のための合議体又は委員による調査について、第二十三条第二項の規定は前項の合議体の議事について、それぞれ準用する。この場合において、第十三条中「、地方更生保護委員会及び保護観察所の長」とあるのは、「及び保護観察所の長」と読み替えるものとする。

(保護観察のための調査)

第六十四条 保護観察所の長は、保護観察のための調査において、必要があると認めるときは、関係人に対し、質問をし、及び資料の提示を求めることができる。

2 前項の規定による質問及び資料の提示の求めは、保護観察官又は保護司をして行わせるものとする。

3 第二十五条第二項の規定は、第一項の規定による質問及び資料の提示の求めについて準用する。

(被害者等の心情等の伝達)

第六十五条 保護観察所の長は、法務省令で定めるところにより、保護観察対象者について、被害者等(当該保護観察対象者が刑若しくは保護処分を言い渡される理由となった犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為により害を被った者(以下この項において「被害者」という。)又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下この条において同じ。)から、被害に関する心情、被害者等の置かれている状況又は保護観察対象者の生活若しくは行動に関する意見(以下この条において「心情等」という。)の伝達の申出があったときは、当該心情等を聴取し、当該保護観察対象者に伝達するものとする。ただし、その伝達をすることが当該保護観察対象者の改善更生を妨げるおそれがあり、又は当該被害に係る事件の性質、保護観察の実施状況その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。

2 保護観察所の長は、被害者等の居住地を管轄する他の保護観察所の長に対し、前項の申出の受理及び心情等の聴取に関する事務を嘱託することができる。この場合において、同項ただし書の規定により当該保護観察所の長が心情等の伝達をしないこととするときは、あらかじめ、当該他の保護観察所の長の意見を聴かなければならない。

第二節 保護観察処分少年

(少年法第二十四条第一項第一号の保護処分の期間)

第六十六条 保護観察処分少年に対する保護観察の期間は、当該保護観察処分少年が二十歳に達するまで(その期間が二年に満たない場合には、二年)とする。ただし、第六十八条第三項の規定により保護観察の期間が定められたときは、当該期間とする。

(警告及び少年法第二十六条の四第一項の決定の申請)

第六十七条 保護観察所の長は、保護観察処分少年が、遵守事項を遵守しなかったと認めるときは、当該保護観察処分少年に対し、これを遵守するよう警告を発することができる。

2 保護観察所の長は、前項の警告を受けた保護観察処分少年が、なお遵守事項を遵守せず、その程度が重いと認めるときは、少年法第二十六条の四第一項の決定の申請をすることができる。

(家庭裁判所への通告等)

第六十八条 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、新たに少年法第三条第一項第三号に掲げる事由があると認めるときは、家庭裁判所に通告することができる。

2 前項の規定による通告があった場合において、当該通告に係る保護観察処分少年が二十歳以上であるときは、これを少年法第二条第一項の少年とみなして、同法第二章の規定を適用する。

3 家庭裁判所は、前項の規定により少年法第二条第一項の少年とみなされる保護観察処分少年に対して同法第二十四条第一項第一号又は第三号の保護処分をするときは、保護処分の決定と同時に、その者が二十三歳を超えない期間内において、保護観察の期間又は少年院に収容する期間を定めなければならない。

(保護観察の解除)

第六十九条 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるときは、保護観察を解除するものとする。

(保護観察の一時解除)

第七十条 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、その改善更生に資すると認めるときは、期間を定めて、保護観察を一時的に解除することができる。

2 前項の規定により保護観察を一時的に解除されている保護観察処分少年については、第四十九条、第五十一条から第五十九条まで、第六十一条、第六十二条、第六十五条、第六十七条及び第六十八条の規定は、適用しない。

3 第一項の規定により保護観察を一時的に解除されている保護観察処分少年に対する第五十条及び第六十三条の規定の適用については、第五十条中「以下「一般遵守事項」という」とあるのは「第二号ロ及び第三号に掲げる事項を除く」と、同条第二号中「守り、保護観察官及び保護司による指導監督を誠実に受ける」とあるのは「守る」と、同条第五号中「転居又は七日以上の旅行」とあるのは「転居」と、第六十三条第二項第二号中「遵守事項」とあるのは「第七十条第三項の規定により読み替えて適用される第五十条に掲げる事項」とする。

4 第一項の規定による処分があったときは、その処分を受けた保護観察処分少年について定められている特別遵守事項は、その処分と同時に取り消されたものとみなす。

5 保護観察所の長は、第一項の規定により保護観察を一時的に解除されている保護観察処分少年について、再び保護観察を実施する必要があると認めるときは、同項の規定による処分を取り消さなければならない。

6 前項の場合において、保護観察所の長は、保護観察処分少年が第一項の規定により保護観察を一時的に解除されている間に第三項の規定により読み替えて適用される第五十条に掲げる事項を遵守しなかったことを理由として、第六十七条第一項の規定による警告を発し、又は同条第二項の規定による申請をすることができない。

第三節 少年院仮退院者

(少年院への戻し収容の申請)

第七十一条 地方委員会は、保護観察所の長の申出により、少年院仮退院者が遵守事項を遵守しなかったと認めるときは、当該少年院仮退院者を少年院に送致した家庭裁判所に対し、これを少年院に戻して収容する旨の決定の申請をすることができる。ただし、二十三歳に達している少年院仮退院者については、少年院法第十一条第五項に規定する事由に該当すると認めるときに限る。

(少年院への戻し収容の決定)

第七十二条 前条の申請を受けた家庭裁判所は、当該申請に係る少年院仮退院者について、相当と認めるときは、これを少年院に戻して収容する旨の決定をすることができる。

2 家庭裁判所は、前項の決定をする場合において、二十三歳に満たない少年院仮退院者を二十歳を超えて少年院に収容する必要があると認めるときは、当該決定と同時に、その者が二十三歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めることができる。その者が既に二十歳に達しているときは、当該決定と同時に、二十三歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めなければならない。

3 家庭裁判所は、二十三歳に達している少年院仮退院者について第一項の決定をするときは、当該決定と同時に、その者が二十六歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めなければならない。

4 家庭裁判所は、第一項の決定に係る事件の審理に当たっては、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識を有する者及び保護観察所の長の意見を聴かなければならない。

5 前三項に定めるもののほか、第一項の決定に係る事件の手続は、その性質に反しない限り、少年の保護処分に係る事件の手続の例による。

(留置)

第七十三条 地方委員会は、第六十三条第二項又は第三項の引致状により引致された少年院仮退院者について、第七十一条の申出があり同条の規定による申請をするか否かに関する審理を開始するときは、当該少年院仮退院者を刑事施設又は少年鑑別所に留置することができる。

2 前項の規定による留置の期間は、引致すべき場所に引致された日から起算して十日以内とする。ただし、その期間中であっても、留置の必要がなくなったと認めるときは、直ちに少年院仮退院者を釈放しなければならない。

3 第一項の規定により留置されている少年院仮退院者について、第七十一条の規定による申請があったときは、前項の規定にかかわらず、当該申請に係る家庭裁判所からの決定の通知があるまでの間又は少年法第十七条第一項第二号の観護の措置がとられるまでの間、継続して留置することができる。ただし、留置の期間は、通じて二十日を超えることができない。

4 第一項の規定による留置及び第二項ただし書の規定による釈放に係る判断は、三人の委員をもって構成する合議体(第七十一条の規定による申請をするか否かに関する審理の開始後においては、当該審理を担当する合議体)で行う。ただし、急速を要するときは、あらかじめ地方委員会が指名する一人の委員で行うことができる。

5 第十三条、第二十三条第三項並びに第二十五条第一項及び第二項の規定は前項に規定する措置のための合議体又は委員による調査について、第二十三条第二項の規定は前項の合議体の議事について、それぞれ準用する。この場合において、第十三条中「、地方更生保護委員会及び保護観察所の長」とあるのは、「及び保護観察所の長」と読み替えるものとする。

6 第一項の規定による留置については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。

(少年院仮退院者の退院を許す処分)

第七十四条 地方委員会は、少年院仮退院者について、保護観察所の長の申出があった場合において、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるとき(二十三歳を超える少年院仮退院者については、少年院法第十一条第五項に規定する事由に該当しなくなったと認めるときその他保護観察を継続する必要がなくなったと認めるとき)は、決定をもって、退院を許さなければならない。

2 第四十六条第二項の規定は、前項の決定について準用する。

第四節 仮釈放者

(仮釈放の取消し)

第七十五条 刑法第二十九条第一項の規定による仮釈放の取消しは、仮釈放者に対する保護観察をつかさどる保護観察所の所在地を管轄する地方委員会が、決定をもってするものとする。

2 刑法第二十九条第一項第四号に該当することを理由とする前項の決定は、保護観察所の長の申出によらなければならない。

3 刑事訴訟法第四百八十四条から第四百八十九条までの規定は、仮釈放を取り消された者の収容について適用があるものとする。

(留置)

第七十六条 地方委員会は、第六十三条第二項又は第三項の引致状により引致された仮釈放者について、刑法第二十九条第一項第一号から第三号までに該当する場合であって前条第一項の決定をするか否かに関する審理を開始する必要があると認めるとき、又は同条第二項の申出がありその審理を開始するときは、当該仮釈放者を刑事施設又は少年鑑別所に留置することができる。

2 前項の規定により仮釈放者が留置された場合において、その者の仮釈放が取り消されたときは、刑法第二十九条第二項の規定にかかわらず、その留置の日数は、刑期に算入するものとする。

3 第七十三条第二項及び第四項から第六項までの規定は、第一項の規定による留置について準用する。この場合において、同条第四項中「第七十一条の規定による申請」とあるのは、「第七十五条第一項の決定」と読み替えるものとする。

(保護観察の停止)

第七十七条 地方委員会は、保護観察所の長の申出により、仮釈放者の所在が判明しないため保護観察が実施できなくなったと認めるときは、決定をもって、保護観察を停止することができる。

2 前項の規定により保護観察を停止されている仮釈放者の所在が判明したときは、その所在の地を管轄する地方委員会は、直ちに、決定をもって、その停止を解かなければならない。

3 前項の決定は、急速を要するときは、第二十三条第一項の規定にかかわらず、一人の委員ですることができる。

4 第一項の規定により保護観察を停止されている仮釈放者が第六十三条第二項又は第三項の引致状により引致されたときは、第二項の決定があったものとみなす。

5 仮釈放者の刑期は、第一項の決定によってその進行を停止し、第二項の決定があった時からその進行を始める。

6 地方委員会は、仮釈放者が第一項の規定により保護観察を停止されている間に遵守事項を遵守しなかったことを理由として、仮釈放の取消しをすることができない。

7 地方委員会は、第一項の決定をした後、保護観察の停止の理由がなかったことが明らかになったときは、決定をもって、同項の決定を取り消さなければならない。

8 前項の規定により第一項の決定が取り消された場合における仮釈放者の刑期の計算については、第五項の規定は、適用しない。

(仮釈放者の不定期刑の終了)

第七十八条 地方委員会は、不定期刑に処せられ、仮釈放を許されている者であって、仮釈放前又は仮釈放中にその刑の短期が経過したものについて、保護観察所の長の申出により、刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、少年法第五十九条第二項の規定にかかわらず、決定をもって、刑の執行を受け終わったものとしなければならない。

2 第四十六条第二項の規定は、前項の決定について準用する。

第五節 保護観察付執行猶予者

(検察官への申出)

第七十九条 保護観察所の長は、保護観察付執行猶予者について、刑法第二十六条の二第二号の規定により刑の執行猶予の言渡しを取り消すべきものと認めるときは、刑事訴訟法第三百四十九条第一項に規定する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所に対応する検察庁の検察官に対し、書面で、同条第二項に規定する申出をしなければならない。

(留置)

第八十条 保護観察所の長は、第六十三条第二項の引致状により引致した保護観察付執行猶予者について、前条の申出をするか否かに関する審理を開始する必要があると認めるときは、当該保護観察付執行猶予者を刑事施設又は少年鑑別所に留置することができる。

2 前項の規定による留置の期間は、引致すべき場所に引致した日から起算して十日以内とする。ただし、その期間中であっても、前条の申出をする必要がなくなったとき、検察官が刑事訴訟法第三百四十九条第一項の請求をしないことが明らかになったときその他留置の必要がなくなったときは、直ちに保護観察付執行猶予者を釈放しなければならない。

3 第一項の規定により留置されている保護観察付執行猶予者について、刑事訴訟法第三百四十九条第一項の請求があったときは、前項の規定にかかわらず、同法第三百四十九条の二第一項の決定の告知があるまでの間、継続して留置することができる。ただし、留置の期間は、通じて二十日を超えることができない。

4 刑事訴訟法第三百四十九条の二第二項の規定による口頭弁論の請求があったときは、裁判所は、決定をもって、十日間に限り、前項ただし書の期間を延長することができる。この場合において、その決定の告知については、同法による決定の告知の例による。

5 第三項に規定する決定が保護観察付執行猶予者の刑の執行猶予の言渡しを取り消すものであるときは、同項の規定にかかわらず、その決定が確定するまでの間、その者を継続して留置することができる。

6 第一項の規定により保護観察付執行猶予者が留置された場合において、その刑の執行猶予の言渡しが取り消されたときは、その留置の日数は、刑期に算入するものとする。

7 第七十三条第六項の規定は、第一項の規定による留置について準用する。

(保護観察の仮解除)

第八十一条 刑法第二十五条の二第二項の規定による保護観察を仮に解除する処分は、地方委員会が、保護観察所の長の申出により、決定をもってするものとする。

2 刑法第二十五条の二第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者については、第四十九条、第五十一条から第五十八条まで、第六十一条、第六十二条、第六十五条、第七十九条及び前条の規定は、適用しない。

3 刑法第二十五条の二第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者に対する第五十条及び第六十三条の規定の適用については、第五十条中「以下「一般遵守事項」という」とあるのは「第二号ロ及び第三号に掲げる事項を除く」と、同条第二号中「守り、保護観察官及び保護司による指導監督を誠実に受ける」とあるのは「守る」と、同条第五号中「転居又は七日以上の旅行」とあるのは「転居」と、第六十三条第二項第二号中「遵守事項」とあるのは「第八十一条第三項の規定により読み替えて適用される第五十条に掲げる事項」とする。

4 第一項に規定する処分があったときは、その処分を受けた保護観察付執行猶予者について定められている特別遵守事項は、その処分と同時に取り消されたものとみなす。

5 地方委員会は、刑法第二十五条の二第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者について、保護観察所の長の申出があった場合において、その行状にかんがみ再び保護観察を実施する必要があると認めるときは、決定をもって、同項の規定による処分を取り消さなければならない。

第四章 生活環境の調整

(収容中の者に対する生活環境の調整)

第八十二条 保護観察所の長は、刑の執行のため刑事施設に収容されている者又は刑若しくは保護処分の執行のため少年院に収容されている者について、その社会復帰を円滑にするため必要があると認めるときは、その者の家族その他の関係人を訪問して協力を求めることその他の方法により、釈放後の住居、就業先その他の生活環境の調整を行うものとする。

(保護観察付執行猶予の裁判確定前の生活環境の調整)

第八十三条 保護観察所の長は、刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しを受け、その裁判が確定するまでの者について、保護観察を円滑に開始するため必要があると認めるときは、その者の同意を得て、前条に規定する方法により、その者の住居、就業先その他の生活環境の調整を行うことができる。

(準用)

第八十四条 第六十一条第一項の規定は、前二条の規定による措置について準用する。

第五章 更生緊急保護等

第一節 更生緊急保護

(更生緊急保護)

第八十五条 この節において「更生緊急保護」とは、次に掲げる者が、刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後、親族からの援助を受けることができず、若しくは公共の衛生福祉に関する機関その他の機関から医療、宿泊、職業その他の保護を受けることができない場合又はこれらの援助若しくは保護のみによっては改善更生することができないと認められる場合に、緊急に、その者に対し、金品を給与し、又は貸与し、宿泊場所を供与し、宿泊場所への帰住、医療、療養、就職又は教養訓練を助け、職業を補導し、社会生活に適応させるために必要な生活指導を行い、生活環境の改善又は調整を図ること等により、その者が進んで法律を守る善良な社会の一員となることを援護し、その速やかな改善更生を保護することをいう。

一 懲役、禁錮又は拘留の刑の執行を終わった者

二 懲役、禁錮又は拘留の刑の執行の免除を得た者

三 懲役又は禁錮の刑の執行猶予の言渡しを受け、その裁判が確定するまでの者

四 前号に掲げる者のほか、懲役又は禁錮の刑の執行猶予の言渡しを受け、保護観察に付されなかった者

五 訴追を必要としないため公訴を提起しない処分を受けた者

六 罰金又は科料の言渡しを受けた者

七 労役場から出場し、又は仮出場を許された者

八 少年院から退院し、又は仮退院を許された者(保護観察に付されている者を除く。)

2 更生緊急保護は、その対象となる者の改善更生のために必要な限度で、国の責任において、行うものとする。

3 更生緊急保護は、保護観察所の長が、自ら行い、又は更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行うものとする。

4 更生緊急保護は、その対象となる者が刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後六月を超えない範囲内において、その意思に反しない場合に限り、行うものとする。ただし、その者の改善更生を保護するため特に必要があると認められるときは、更に六月を超えない範囲内において、これを行うことができる。

5 更生緊急保護を行うに当たっては、その対象となる者が公共の衛生福祉に関する機関その他の機関から必要な保護を受けることができるようあっせんするとともに、更生緊急保護の効率化に努めて、その期間の短縮と費用の節減を図らなければならない。

6 更生緊急保護に関し職業のあっせんの必要があると認められるときは、公共職業安定所は、更生緊急保護を行う者の協力を得て、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)の規定に基づき、更生緊急保護の対象となる者の能力に適当な職業をあっせんすることに努めるものとする。

(更生緊急保護の開始等)

第八十六条 更生緊急保護は、前条第一項各号に掲げる者の申出があった場合において、保護観察所の長がその必要があると認めたときに限り、行うものとする。

2 検察官、刑事施設の長又は少年院の長は、前条第一項各号に掲げる者について、刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解く場合において、必要があると認めるときは、その者に対し、この節に定める更生緊急保護の制度及び申出の手続について教示しなければならない。

3 保護観察所の長は、更生緊急保護を行う必要があるか否かを判断するに当たっては、その申出をした者の刑事上の手続に関与した検察官又はその者が収容されていた刑事施設(労役場に留置されていた場合には、当該労役場が附置された刑事施設)の長若しくは少年院の長の意見を聴かなければならない。ただし、仮釈放の期間の満了によって前条第一項第一号に該当した者又は仮退院の終了により同項第八号に該当した者については、この限りでない。

(費用の支弁)

第八十七条 国は、法務大臣が財務大臣と協議して定める基準に従い、第八十五条第三項の規定による委託によって生ずる費用を支弁する。

2 前項に規定する委託は、同項の規定により国が支弁する金額が予算の金額を超えない範囲内においてしなければならない。

第二節 刑執行停止中の者に対する措置

第八十八条 保護観察所の長は、刑事訴訟法第四百八十条又は第四百八十二条の規定により刑の執行を停止されている者について、検察官の請求があったときは、その者に対し、第五十七条第一項(第二号及び第三号を除く。)、第五十八条、第六十一条及び第六十二条の規定の例により、適当と認める指導監督、補導援護並びに応急の救護及びその援護の措置をとることができる。

第六章 恩赦の申出

(恩赦の申出)

第八十九条 恩赦法(昭和二十二年法律第二十号)第十二条に規定する審査会の申出は、法務大臣に対してするものとする。

(申出のための調査等)

第九十条 審査会は、前条の申出をする場合には、あらかじめ、申出の対象となるべき者の性格、行状、違法な行為をするおそれの有無、その者に対する社会の感情その他の事項について、必要な調査を行わなければならない。

2 審査会は、刑事施設若しくは少年院に収容されている者又は労役場に留置されている者について、特赦、減刑又は刑の執行の免除の申出をする場合には、その者が、社会の安全及び秩序を脅かすことなく釈放されるに適するかどうかを考慮しなければならない。

第七章 審査請求等

第一節 行政手続法の適用除外

第九十一条 この法律の規定による処分及び行政指導については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章から第四章までの規定は、適用しない。

第二節 審査請求

(審査請求)

第九十二条 この法律の規定により地方委員会が決定をもってした処分に不服がある者は、審査会に対し、行政不服審査法による審査請求をすることができる。

(審査請求書の提出)

第九十三条 刑事施設に収容され、若しくは労役場に留置されている者又は少年院に収容されている者の審査請求は、審査請求書を当該刑事施設(労役場に留置されている場合には、当該労役場が附置された刑事施設。以下この条において同じ。)の長又は少年院の長に提出してすることができる。

2 刑事施設の長又は少年院の長は、前項の規定により審査請求書の提出を受けたときは、直ちに、審査請求書の正本を審査会に、副本を地方委員会に送付しなければならない。

3 第一項の場合における行政不服審査法第十四条の規定による審査請求の期間の計算については、刑事施設の長又は少年院の長に審査請求書を提出した時に審査請求があったものとみなす。

(執行停止)

第九十四条 審査会に対する審査請求に関する行政不服審査法第三十四条第三項の規定の適用については、同項本文中「、処分庁の意見を聴取したうえ」とあるのは「又は職権で」と、同項ただし書中「処分の効力、処分の執行又は手続の続行」とあるのは「処分の執行」とする。

(裁決をすべき期間)

第九十五条 審査会は、審査請求を受理した日から六十日以内に裁決をしなければならない。

(審査請求と訴訟との関係)

第九十六条 この法律の規定により地方委員会が決定をもってした処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。

第八章 雑則

(記録の保存等)

第九十七条 審査会は特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除及び特定の者に対する復権についてした申出に関する記録を、地方委員会はこの法律の規定により決定をもってすることとされている処分に係る審理及び決定に関する記録を、それぞれ、政令で定めるところにより保存しなければならない。

2 審査会及び地方委員会は、前項の記録の閲覧を求める者があるときは、これをその者の閲覧に供さなければならない。ただし、同項の申出若しくは審理の対象とされた者の改善更生を妨げ、又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害するおそれがあるときは、閲覧を拒むことができる。

(費用の徴収)

第九十八条 保護観察所の長は、第六十一条第二項(第八十八条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による委託及び第六十二条第二項(第八十八条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による応急の救護に要した費用並びに第八十七条第一項の費用を、期限を指定して、その費用を要した措置を受けた者又はその扶養義務者から徴収しなければならない。ただし、これらの者が、その費用を負担することができないと認めるときは、この限りでない。

2 前項の規定による費用の徴収は、徴収されるべき者の居住地又は財産所在地の市町村(特別区を含む。以下同じ。)に嘱託することができる。

3 政府は、前項の規定により、市町村に対し費用の徴収を嘱託した場合においては、その徴収金額の百分の四に相当する金額を、その市町村に交付しなければならない。

4 第二項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

(省令への委任)

第九十九条 この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、法務省令で定める。

   附 則 〔抄〕

 

犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則

平成20年4月23日法務省令第28号

最終改正:平成28年3月31日法務省令第15号

 

 

 更生保護法 (平成十九年法律第八十八号)附則第十二条 の施行に伴い、並びに同法 の規定に基づき、並びに同法 及び売春防止法 (昭和三十一年法律第百十八号)を実施するため、犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則を次のように定める。

 

 

 第一章 総則(第一条―第六条) 

 第二章 仮釈放等 

  第一節 仮釈放、仮出場、少年院からの仮退院及び婦人補導院からの仮退院 

   第一款 法定期間経過の通告等(第七条・第八条) 

   第二款 矯正施設の長による申出(第九条―第十六条) 

   第三款 審理(第十七条―第二十三条) 

   第四款 被害者等の意見等の聴取(第二十四条―第二十七条) 

   第五款 許可の基準(第二十八条―第三十一条) 

   第六款 審理の終結(第三十二条) 

   第七款 審理の再開(第三十三条・第三十四条) 

  第二節 刑事施設等に収容中の者の不定期刑の終了(第三十五条―第三十七条) 

  第三節 少年院に収容中の者の退院(第三十八条―第四十条) 

 第三章 保護観察 

  第一節 通則 

   第一款 保護観察実施上の基本的事項(第四十一条―第四十四条) 

   第二款 住居の届出及び転居又は旅行の許可(第四十五条―第四十八条) 

   第三款 遵守事項(第四十九条―第五十三条) 

   第四款 生活行動指針(第五十四条・第五十五条) 

   第五款 補導援護(第五十六条―第六十二条) 

   第六款 保護者に対する措置等(第六十三条・第六十四条) 

   第七款 応急の救護(第六十五条―第六十七条) 

   第八款 出頭の命令及び引致(第六十八条―第七十条) 

   第九款 被害者等の心情等の伝達(第七十一条―第七十六条) 

   第十款 規制薬物等に対する依存がある保護観察対象者に関する特則(第七十六条の二・第七十六条の三) 

  第二節 保護観察処分少年(第七十七条―第八十四条) 

  第三節 少年院仮退院者(第八十五条―第九十条) 

  第四節 仮釈放者(第九十一条―第九十九条) 

  第五節 保護観察付執行猶予者(第九十九条の二―第百五条) 

  第六節 婦人補導院仮退院者(第百六条―第百九条) 

  第七節 地方委員会の審理に関する規定の準用(第百十条) 

 第四章 生活環境の調整(第百十一条―第百十四条) 

 第五章 更生緊急保護(第百十五条―第百二十二条) 

 附則 

 

   第一章 総則

 

(目的)

第一条  この規則は、犯罪をした者及び非行のある少年に対し、更生保護法 (以下「法」という。)及び売春防止法 の規定に基づいて行う社会内における処遇に関し、必要な事項を定めることを目的とする。

(定義)

第二条  この規則において使用する用語は、特別の定めのある場合を除くほか、法及び売春防止法 において使用する用語の例による。

(実施に当たる者の態度)

第三条  法及び売春防止法 並びにこの規則の規定による措置及び調査の実施に当たっては、法第一条 に規定する目的を踏まえ、公正を旨とし、社会内における処遇の対象となる者に対しては厳格な姿勢と慈愛の精神をもって接し、関係人に対しては誠意をもって接し、その信頼を得るように努めなければならない。

(関係人の呼出し)

第四条  法第十二条第一項 (法第二十五条第三項 において準用する場合を含む。)の規定による呼出しは、次に掲げる事項を記載した書面によらなければならない。

一  関係人の氏名

二  出頭すべき日時及び場所

三  呼出しの事由の要旨

四  正当な理由がないのに呼出しに応じないときは、十万円以下の過料に処せられることがある旨(呼出しに応じない関係人を再度呼び出す場合に限る。)

(決定書)

第五条  法第二十六条 の決定書には、次に掲げる事項を記載し、合議体を構成する委員の全員が記名押印しなければならない。

一  決定の対象となる者の氏名、生年月日、本籍及び住居又は現在する場所

二  主文

三  理由

四  地方委員会の名称及び決定の年月日

2  法第七十七条第三項 の規定により一人の委員で決定をするときは、当該委員が前項各号に掲げる事項を記載した決定書を作成し、これに記名押印しなければならない。

(決定の告知)

第六条  法第二十七条第二項 本文の規定による決定の言渡しは、決定書の主文及び理由を朗読してするものとする。

2  法第二十七条第二項 ただし書の法務省令で定める方法は、決定の対象とされた者の現在地を管轄する保護観察所の長又はその者が収容されている刑事施設(労役場に留置されている場合には、当該労役場が附置された刑事施設)の長、少年院の長、少年鑑別所の長若しくは婦人補導院の長に、同条第一項 の告知を嘱託し、ファクシミリ装置を用いて送信する方法により決定書の写しを送付し、これを当該決定の対象とされた者に交付させる方法とする。

3  地方委員会は、前項に規定する方法により法第二十七条第一項 の告知を行ったときは、速やかに、当該決定の対象とされた者に対し、決定書の謄本を送付しなければならない。

   第二章 仮釈放等

 

    第一節 仮釈放、仮出場、少年院からの仮退院及び婦人補導院からの仮退院

 

     第一款 法定期間経過の通告等

 

(身上関係事項の通知等)

第七条  刑事施設の長又は少年院の長は、懲役若しくは禁錮の刑に処せられた者又は少年法 (昭和二十三年法律第百六十八号)第二十四条第一項第三号 の保護処分を受けた者を収容したときは、速やかに、当該刑事施設又は少年院の所在地を管轄する地方委員会及び刑事施設又は少年院に収容された者(以下「刑事施設等被収容者」という。)に係る帰住予定地(刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者、労役場に留置されている者、保護処分の執行のため少年院に収容されている者又は補導処分の執行のため婦人補導院に収容されている者が釈放された後に居住する予定の住居の所在地をいう。以下同じ。)を管轄する保護観察所の長に対し、書面により、次に掲げる事項を通知しなければならない。これらの事項に変動が生じた場合における当該変動に係る事項についても、同様とする。

一  刑事施設等被収容者の氏名、生年月日及び本籍

二  懲役又は禁錮の刑に処せられた者についてはその刑の言渡しをした裁判所の名称、言渡し及び確定の年月日並びに罪名、刑名及び刑期(懲役又は禁錮につき刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者(以下次号、第九条第一号及び第百一条第三号において「一部猶予者」という。)にあっては、その刑のうち執行を猶予された部分の期間並びに猶予の期間及び当該猶予の期間中の保護観察の有無を含む。)、少年法第二十四条第一項第三号 の保護処分を受けた者についてはその保護処分をした家庭裁判所の名称、その年月日及び非行名

三  懲役又は禁錮の刑に処せられた者については収容した日、刑期の起算日及び終了日(一部猶予者にあっては、その刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の終了日を含む。)並びに刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二十八条 又は少年法第五十八条第一項 に規定する期間(以下「法定期間」という。)の末日、少年法第二十四条第一項第三号 の保護処分を受けた者については収容した日及び収容すべき期間の終了日

四  犯罪又は非行の概要、動機及び原因

五  共犯者の状況

六  被害者等の状況

七  生活歴

八  心身の状況

九  懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設に収容された者については刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 (平成十七年法律第五十号)第百三条 の規定による指導(以下「改善指導」という。)の区分、懲役若しくは禁錮の刑又は保護処分の執行のため少年院に収容された者については個人別矯正教育計画(少年院法 (平成二十六年法律第五十八号)第三十四条第一項 に規定する個人別矯正教育計画をいう。以下同じ。)

十  帰住予定地

十一  引受人(刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者、労役場に留置されている者、保護処分の執行のため少年院に収容されている者又は補導処分の執行のため婦人補導院に収容されている者(以下本号において「矯正施設被収容者」という。)が釈放された後にその者と同居するなどしてその生活の状況に配慮し、その者の改善更生のために特に協力する者をいう。以下同じ。)又は引受人以外の者であって矯正施設被収容者が釈放された後にその者の改善更生のために協力する者(以下「引受人等」という。)の状況

十二  釈放後の生活の計画

十三  その他参考となる事項

2  前項の場合において、更生保護事業法 (平成七年法律第八十六号)第二条第七項 に規定する更生保護施設その他の施設を帰住予定地とする刑事施設等被収容者については、その理由、家族の状況その他必要な事項を併せて通知しなければならない。

3  地方委員会は、拘留の刑の執行のため刑事施設に収容されている者又は労役場に留置されている者について、必要があると認めるときは、その者を収容し、又は留置している刑事施設の長に対し、次に掲げる事項を記載した書面の提出を求めることができる。

一  拘留の刑の執行のため刑事施設に収容されている者又は労役場に留置されている者の氏名、生年月日及び本籍

二  拘留の刑の執行のため刑事施設に収容されている者についてはその刑の言渡しをした裁判所の名称、言渡し及び確定の年月日並びに罪名、刑名及び刑期、労役場に留置されている者については罰金の言渡しをした裁判所の名称、言渡し及び確定の年月日並びに罪名、刑名及び罰金の額

三  拘留の刑の執行のため刑事施設に収容されている者については刑期の起算日及び終了日、労役場に留置されている者については留置した日、留置すべき期間及びその終了日

四  犯罪の概要

五  心身の状況

六  その他参考となる事項

4  刑事施設の長は、前項に規定する書面を提出した場合において、当該書面に記載した事項に変動が生じたときは、速やかに、当該刑事施設の所在地を管轄する地方委員会に対し、書面により、当該変動に係る事項を通知しなければならない。

5  婦人補導院の長は、補導処分に付された者を収容したときは、速やかに、当該婦人補導院の所在地を管轄する地方委員会に対し、書面により、売春防止法第二十五条第二項 の規定による通告をするとともに、当該地方委員会及び婦人補導院に収容された者の帰住予定地を管轄する保護観察所の長に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。これらの事項に変動が生じた場合における当該変動に係る事項についても、同様とする。

一  婦人補導院に収容された者の氏名、生年月日及び本籍

二  売春防止法第十七条第一項 の規定により補導処分に付する旨の言渡しをした裁判所の名称、刑の言渡し及び確定の年月日、罪名、刑名、刑期並びに刑の執行猶予の期間

三  収容した日及び収容すべき期間の終了日

四  引受人等の状況

五  婦人補導院における処遇の状況

六  第一項第四号、第五号、第七号、第八号、第十号、第十二号及び第十三号に掲げる事項

(法定期間経過の通告の方式)

第八条  法第三十三条 の規定による通告は、法定期間の末日から十日以内に行うものとする。

2  前項の通告は、通告の対象となる者の氏名及び生年月日、法定期間の末日その他参考となる事項を記載した書面によらなければならない。

     第二款 矯正施設の長による申出

 

(審査)

第九条  矯正施設の長(刑事施設の長、少年院の長及び婦人補導院の長をいう。以下同じ。)は、次に掲げる者について、仮釈放、仮出場、少年院からの仮退院又は婦人補導院からの仮退院(以下「仮釈放等」という。)を許すべき旨の申出をするか否かに関する審査(以下「審査」という。)を行わなければならない。

一  刑の執行のため収容している者(一部猶予者にあっては、執行が猶予されなかった部分の期間が法定期間を超える者に限る。)

二  労役場に留置している者

三  保護処分の執行のため収容している者

四  補導処分の執行のため収容している者

(参考意見の聴取等)

第十条  矯正施設の長は、審査に当たり必要があると認めるときは、次に掲げる者の意見を求めるものとする。

一  審査の対象となる者の処遇に関係のある当該矯正施設(刑事施設(当該刑事施設に附置された労役場を含む。)、少年院及び婦人補導院をいう。以下同じ。)の職員以外の協力者

二  当該矯正施設の職員以外の精神医学、心理学等の専門的知識を有する者

三  裁判官又は検察官

2  矯正施設の長は、前項の場合のほか、審査に当たり、裁判官又は検察官から、当該審査の対象となる者について仮釈放等に関する意見が表明されているときは、当該意見を考慮するものとする。

3  矯正施設の長は、審査に関し必要があると認めるときは、訴訟記録を閲覧するものとする。

(審査の時期)

第十一条  懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容している者の審査は、法定期間の末日までに行い、その後の審査は、少なくとも六月ごとに行うものとする。

2  保護処分の執行のため少年院に収容している者の審査は、少年院法第十六条 に規定する処遇の段階が最高段階に達したとき又は第三十条 に定める基準に該当する見込みがあると認めるときに行うものとする。

3  婦人補導院に収容している者の審査は、その収容の日から二月を経過する日までに行うものとする。

(仮釈放及び仮出場の申出の基準)

第十二条  刑事施設の長又は少年院の長は、懲役又は禁錮の刑の執行のため収容している者について、第二十八条に定める基準に該当すると認めるときは、法第三十四条第一項 の規定による申出をするものとする。

2  刑事施設の長は、拘留の刑の執行のため収容している者又は労役場に留置している者について、第二十九条に定める基準に該当すると認めるときは、法第三十四条第二項 の規定による申出をするものとする。

(少年院からの仮退院の申出の基準)

第十三条  少年院の長は、保護処分の執行のため収容している者について、第三十条に定める基準に該当すると認めるときは、地方委員会に対し、仮退院を許すべき旨の申出をするものとする。

2  前項の規定による申出があったときは、法第四十二条 による法第三十五条第二項 の規定の準用については、少年院法第百三十五条 の規定による申出があったものとみなす。

(婦人補導院からの仮退院の申出の基準)

第十四条  婦人補導院の長は、補導処分の執行のため収容している者について、第三十一条に定める基準に該当すると認めるときは、売春防止法第二十五条第三項 の規定による申出をするものとする。

(仮釈放等の申出の方式)

第十五条  仮釈放等を許すべき旨の申出は、次に掲げる事項を記載した書面によらなければならない。

一  仮釈放等の対象となるべき者の氏名、生年月日及び本籍

二  仮釈放等の対象となるべき者の現在する場所

三  申出の理由

四  心身の状況

五  改善指導の区分、個人別矯正教育計画、少年院法第十六条 に規定する処遇の段階、同法第三十五条第一項 に規定する成績の評価の結果その他の矯正施設における処遇の状況

六  帰住予定地

七  引受人等の状況

八  釈放後の生活の計画

九  仮釈放等により釈放することが適当と認められる日

十  その他参考となる事項

2  刑事施設の長は、仮出場を許すべき旨の申出をする場合であって、第七条第三項に規定する書面を提出していないときは、前項に規定する書面に、同項各号に掲げる事項のほか、第七条第一項第四号から第六号まで並びに同条第三項第二号及び第三号に掲げる事項を記載するものとする。

(仮釈放等の申出の取下げ)

第十六条  矯正施設の長は、仮釈放等を許すべき旨の申出に係る者について、地方委員会が仮釈放等を許す旨の決定をし、又はこれをしない旨の判断をする前に第二十八条から第三十一条まで又は少年院法第百三十五条 に定める基準に該当しなくなったと認めるときは、当該申出を取り下げるものとする。

     第三款 審理

 

(仮釈放等の審理開始の判断のための調査)

第十七条  法第三十六条第一項 (法第四十二条 及び売春防止法第二十五条第四項 において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による調査は、次条各号に掲げる事項について行うものとする。

2  地方委員会は、法第三十六条第一項 の規定による調査においては、その対象となる者に対し、釈放後の生活の計画その他の仮釈放等の審理を開始するか否かを判断するために必要な事項を記載した書面の提出を求めることができる。

(仮釈放等の審理における調査事項)

第十八条  仮釈放等を許すか否かに関する審理は、次に掲げる事項を調査して行うものとする。

一  犯罪又は非行の内容、動機及び原因並びにこれらについての審理対象者の認識及び心情

二  共犯者の状況

三  被害者等の状況

四  審理対象者の性格、経歴、心身の状況、家庭環境及び交友関係

五  矯正施設における処遇の経過及び審理対象者の生活態度

六  帰住予定地の生活環境

七  引受人等の状況

八  釈放後の生活の計画

九  その他審理のために必要な事項

(委員の面接)

第十九条  地方委員会の委員は、仮釈放等を許すか否かに関する審理において、審理対象者と面接するに当たっては、審理対象者の陳述の内容、態度等から、第二十八条、第二十九条、第三十一条又は法第四十一条 (第三十条に定めるものを含む。)に定める基準に該当するか否かを判断するために必要な事項を把握し、的確な心証を得ることに努めるものとする。

(面接の立会い等)

第二十条  地方委員会の委員は、前条の面接に当たり必要があると認めるときは、次に掲げる者の立会いを求め、その意見を聴くものとする。

一  保護観察所の保護観察官

二  精神医学、心理学等の専門的知識を有する者

2  前項第二号に掲げる者は、同項の立会いに関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(面接の省略)

第二十一条  法第三十七条第一項 ただし書(法第四十二条 及び売春防止法第二十五条第四項 において準用する場合を含む。)の法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。

一  第三十二条第一項第三号又は第四号に掲げる事由により審理を終結することとするとき。

二  矯正施設の長が第十六条の規定により仮釈放等を許すべき旨の申出を取り下げた場合において、当該申出に係る処分をしないこととするとき。

三  審理を担当する合議体の構成員である委員が、既に終結している審理対象者に係る審理において、当該審理対象者との面接を行った場合において、当該面接の日から四月を経過していないとき。

四  審理を担当する合議体の構成員である委員が、審理対象者に係る法第三十六条第一項 の規定による調査において、当該審理対象者との面接を既に行っているとき。

五  審理対象者が刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第八十八条第二項 の規定により開放的施設における処遇を受けている場合であって、当該審理対象者について仮釈放を許す旨の決定をするとき。

六  保護処分の執行のため少年院に収容されている審理対象者について、個人別矯正教育計画における矯正教育の期間が二年以内の場合であって、当該審理対象者について少年院からの仮退院を許す旨の決定をするとき。ただし、当該審理対象者について少年院法第十六条 に規定する処遇の段階が最高段階に達していないとき又は事案の性質若しくは当該審理対象者の性格、経歴等に照らし、面接の省略が相当でないと認めるときは、この限りでない。

七  審理対象者が釈放された場合に出入国管理及び難民認定法 (昭和二十六年政令第三百十九号)第二十四条 各号に掲げる者として本邦からの退去を強制される見込みがある場合であって、当該審理対象者について仮釈放等を許す旨の決定をするとき。

(参考意見の聴取等)

第二十二条  第十条の規定は、仮釈放等を許すか否かに関する審理について準用する。この場合において、同条第一項第一号中「当該矯正施設(刑事施設(当該刑事施設に附置された労役場を含む。)、少年院及び婦人補導院をいう。以下同じ。)の職員以外の協力者」とあるのは「協力者」と、同項第二号中「当該矯正施設の職員以外の精神医学」とあるのは「精神医学」と読み替えるものとする。

(仮釈放等の審理の継続)

第二十三条  仮釈放等を許すか否かに関する審理の対象とされている者が他の矯正施設に移送されたときは、当該矯正施設の所在地を管轄する地方委員会が引き続き審理を行うものとする。

     第四款 被害者等の意見等の聴取

 

(意見等を述べたい旨の申出の際に明らかにすべき事項)

第二十四条  法第三十八条第一項 (法第四十二条 において準用する場合を含む。以下同じ。)に規定する申出は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

一  申出人の氏名又は名称及び住所

二  当該申出に係る審理対象者を特定するに足りる事項

三  申出人が法第三十八条第一項 に規定する申出をすることができる者であること。

(意見等の聴取の方法)

第二十五条  法第三十八条第一項 の規定による意見等の聴取は、地方委員会の構成員である委員をして行わせることができる。

2  前項の意見等の聴取は、当該意見等を記載した書面の提出を受け、又は保護観察官をして被害者等の陳述の内容を録取させることにより行うこともできる。

(意見等の聴取に係る通知)

第二十六条  地方委員会は、法第三十八条第一項 の規定により意見等を聴取するときは、第二十四条の申出をした被害者等に対し、聴取の日時及び場所(前条第二項の規定により書面の提出を受ける場合には提出先及び提出期限、保護観察官をして録取させる場合にはその日時及び場所)を通知しなければならない。

2  地方委員会は、法第三十八条第一項 ただし書の規定により意見等を聴取しないこととしたときは、第二十四条の申出をした被害者等に対し、その旨を通知しなければならない。

(意見等の聴取に当たっての配慮)

第二十七条  法第三十八条第一項 の規定により意見等を聴取する場合には、被害者等の心身の状況に配慮するものとする。

     第五款 許可の基準

 

(仮釈放許可の基準)

第二十八条  法第三十九条第一項 に規定する仮釈放を許す処分は、懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者について、悔悟の情及び改善更生の意欲があり、再び犯罪をするおそれがなく、かつ、保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるときにするものとする。ただし、社会の感情がこれを是認すると認められないときは、この限りでない。

(仮出場許可の基準)

第二十九条  法第三十九条第一項 に規定する仮出場を許す処分は、拘留の刑の執行のため刑事施設に収容されている者又は労役場に留置されている者の心身の状況、収容又は留置の期間、社会の感情その他の事情を考慮し、相当と認めるときにするものとする。

(少年院からの仮退院許可の基準)

第三十条  法第四十一条 に規定する仮に退院させることが改善更生のために特に必要であると認めるときとは、保護処分の執行のため少年院に収容されている者について少年院法第十六条 に規定する処遇の段階が最高段階に達していない場合において、その努力により成績が向上し、保護観察に付することが改善更生のために特に必要であると認めるときとする。

(婦人補導院からの仮退院許可の基準)

第三十一条  売春防止法第二十五条第一項 の規定による婦人補導院からの仮退院を許す処分は、補導処分の執行のため婦人補導院に収容されている者について、補導の成績が良好であり、かつ、保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるときにするものとする。

     第六款 審理の終結

 

第三十二条  地方委員会は、仮釈放等を許すか否かに関する審理の対象とされている者について、次の各号のいずれかに該当する場合には、審理を終結するものとする。

一  仮釈放等を許す旨の決定をしたとき。

二  前号の決定をしない旨の判断をしたとき。

三  懲役、禁錮若しくは拘留の刑又は労役場留置の執行を停止された日から三月を経過したとき。ただし、執行の停止が取り消される見込みがあるときは、この限りでない。

四  保護処分の取消し、補導処分の失効、恩赦、逃走、死亡その他の事情により矯正施設に収容中の者でなくなったとき。

2  地方委員会は、前項第二号に該当することにより審理を終結したときは、当該審理の対象とされていた者を収容し、又は留置している矯正施設の長に対し、その旨を通知するものとする。

     第七款 審理の再開

 

(審理再開事由の通知等)

第三十三条  矯正施設の長又は保護観察所の長は、仮釈放等を許す旨の決定を受けた者について、法第三十九条第四項 (法第四十二条 及び売春防止法第二十五条第四項 において準用する場合を含む。以下同じ。)に規定する特別の事情が生じたと認めるときは、速やかに、当該決定をした地方委員会に対し、その旨及びその内容を通知しなければならない。

2  地方委員会は、法第三十九条第四項 の規定により審理を再開したときは、速やかに、仮釈放等を許す旨の決定をし、又はこれをしない旨の判断をするよう努めなければならない。

(審理の再開の通知)

第三十四条  地方委員会は、法第三十九条第四項 の規定により審理を再開したときは、速やかに、審理対象者を収容し、又は留置している矯正施設の長及びその帰住予定地を管轄する保護観察所の長に対し、その旨を通知するものとする。

    第二節 刑事施設等に収容中の者の不定期刑の終了

 

(刑事施設等に収容中の者の不定期刑の終了の申出の基準)

第三十五条  刑事施設の長又は少年院の長は、不定期刑の執行のため収容している者について、次条に定める基準に該当すると認めるときは、法第四十三条 の規定による申出をするものとする。

(刑事施設等に収容中の者の不定期刑の終了の基準)

第三十六条  法第四十四条第一項 の規定による刑の執行を受け終わったものとする処分は、不定期刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者について、その性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係、刑事施設又は少年院における処遇の経過及び生活態度、帰住予定地の生活環境、釈放後の生活の計画その他の事情を考慮し、善良な社会の一員として自立し、改善更生することが確実であり、かつ、保護観察を要しないと認めるときにするものとする。

(準用)

第三十七条  第九条、第十条、第十五条及び第十六条の規定は法第四十三条 の規定による申出について、第一節第三款(第十七条を除く。)及び第六款の規定は法第四十四条第一項 の決定をするか否かに関する審理について、それぞれその性質に反しない限り、準用する。

    第三節 少年院に収容中の者の退院

 

(少年院に収容中の者の退院の申出の基準)

第三十八条  少年院の長は、保護処分の執行のため収容している者について、次条に定める基準に該当すると認めるときは、少年院法第百三十六条第一項 の規定による申出をするものとする。

(少年院に収容中の者の退院の基準)

第三十九条  法第四十六条第一項 の規定による退院を許す処分は、保護処分の執行のため少年院に収容されている者について、その性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係、少年院における処遇の経過及び生活態度、帰住予定地の生活環境、釈放後の生活の計画その他の事情を考慮し、善良な社会の一員として自立し、改善更生することが確実であり、かつ、保護観察を要しないと認めるときにするものとする。

(準用)

第四十条  第九条、第十条、第十五条及び第十六条の規定は少年院法第百三十六条第一項 の規定による申出について、第一節第三款(第十七条を除く。)及び第六款の規定は法第四十六条第一項 の決定をするか否かに関する審理について、それぞれその性質に反しない限り、準用する。

   第三章 保護観察

 

    第一節 通則

 

     第一款 保護観察実施上の基本的事項

 

(処遇の方針)

第四十一条  法第五十七条 、法第六十五条の三 及び法第六十五条の四 (これらの規定を売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。)に規定する指導監督(以下「指導監督」という。)は、保護観察対象者(売春防止法第二十六条第一項 の規定により保護観察に付されている者(以下「婦人補導院仮退院者」という。)を含む。第七十一条を除き、以下同じ。)の犯罪又は非行の内容、悔悟の情、改善更生の意欲、性格、年齢、経歴、心身の状況、生活態度、家庭環境、交友関係、住居、就業又は通学に係る生活環境等を考慮し、犯罪又は非行に結び付くおそれのある行動をする可能性及び保護観察対象者の改善更生に係る状態の変化を的確に把握し、これに基づき、改善更生のために必要かつ相当な限度において行うものとする。

2  法第五十八条 (法第八十八条 の規定によりその例によることとされる場合及び売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。以下同じ。)に規定する補導援護(以下「補導援護」という。)は、保護観察対象者の性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係、住居、就業又は通学に係る生活環境等を考慮し、保護観察対象者が自立した生活を営むことができるようにする上での困難の程度を的確に把握し、これに基づき、その自助の責任を踏まえつつ、法第五十八条 各号に掲げる方法のうち適当と認められるものによって、必要かつ相当な限度において行うものとする。

3  保護観察所の長は、指導監督及び補導援護を行うに当たり、これらを一体的かつ有機的に行うことによりその効果が十分に発揮されるよう努めなければならない。

(保護観察の実施計画)

第四十二条  保護観察所の長は、保護観察対象者について、その保護観察の開始に際し、処遇の目標並びに指導監督及び補導援護の方法並びにとるべき措置の内容を定めた保護観察の実施計画を作成しなければならない。ただし、保護観察の期間、とるべき措置の内容等により必要がないと認めるときは、その作成を省略することができる。

2  保護観察所の長は、保護観察の実施状況等を考慮し、前項本文の実施計画について必要な見直しを行わなければならない。

(保護観察官及び保護司の指名)

第四十三条  保護観察所の長は、保護観察を実施するときは、当該保護観察を担当する保護観察官を指名し、その者に前条第一項本文及び第二項の規定による実施計画の作成及び見直し並びに指導監督及び補導援護を行わせるものとする。

2  保護観察所の長は、前項の場合において、必要があると認めるときは、保護観察官と協働して指導監督及び補導援護を行う保護司を指名するものとする。

3  保護観察所の長は、前二項の場合において、特に必要があると認めるときは、複数の保護観察官又は保護司を指名することができる。

4  保護観察所の長は、前二項の規定により保護司を指名したときは、指導監督及び補導援護を行うことに関し、保護司に過重な負担とならないよう、保護司に対して十分に指導及び助言を行うとともに、第一項の保護観察官をして保護司との緊密な連絡を保たせるものとする。

(保護観察における措置の共助)

第四十四条  保護観察所の長は、保護観察対象者が他の保護観察所の管轄区域に旅行をしているときその他必要があると認めるときは、当該他の保護観察所の長に対し、指導監督、補導援護その他保護観察における措置の共助を依頼することができる。

     第二款 住居の届出及び転居又は旅行の許可

 

(住居の届出)

第四十五条  刑法第二十五条の二第一項 の規定により保護観察に付する旨の言渡しを受けた者は、その裁判の確定前であっても、住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長に対し、書面により、当該住居の所在地を届け出ることができる。この場合において、当該裁判が確定したときは、法第五十条第一項第三号 の届出があったものとみなす。

(転居又は旅行の許可の申請)

第四十六条  法第五十条第一項第五号 (売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。以下同じ。)の転居又は旅行の許可を受けようとする保護観察対象者は、次に掲げる事項を記載した書面により、その保護観察をつかさどる保護観察所の長に申請しなければならない。ただし、急速を要するときその他やむを得ない事由があると認められるときは、電話その他の適当な方法によることができる。

一  保護観察対象者の氏名及び住居

二  転居後の住居又は旅行先

三  転居の理由又は旅行の目的

四  転居の日又は旅行の期間

五  転居又は旅行中における連絡方法

(転居後の住居又は旅行先の調査)

第四十七条  保護観察所の長は、前条の規定による申請を受けた場合において、必要があると認めるときは、同条第二号の転居後の住居又は旅行先の生活環境等について、調査を行うものとする。

2  前項の保護観察所の長は、同項の転居後の住居の所在地又は旅行先を管轄する他の保護観察所の長に対し、同項の規定による調査に関する事務を嘱託することができる。

(転居又は旅行の許可の基準)

第四十八条  法第五十条第一項第五号 の転居又は旅行の許可は、転居後の住居又は旅行先の生活環境、転居の理由又は旅行の目的、保護観察対象者の心身の状況、保護観察の実施状況等を考慮し、当該転居又は旅行によって当該保護観察対象者の改善更生が妨げられるおそれがないと認めるときにするものとする。

     第三款 遵守事項

 

(保護観察処分少年の特別遵守事項の設定及び変更)

第四十九条  保護観察所の長は、保護観察処分少年の保護観察の開始に際し、法第五十二条第一項 の規定により特別遵守事項を定めるときは、少年法第二十四条第一項第一号 の保護処分をした家庭裁判所から、特別遵守事項に関する意見の通知を受け、その意見の範囲内で定めるものとする。

2  保護観察所の長は、前項に規定する場合のほか、法第五十二条第一項 の規定により特別遵守事項を定め、又は変更するときは、前項の家庭裁判所に対し、定めようとする又は変更しようとする特別遵守事項の内容を書面により示すとともに、必要な資料を提示して、当該特別遵守事項の内容に関する意見を求め、その意見の範囲内で特別遵守事項を定め、又は変更するものとする。

(少年院仮退院者、仮釈放者等の特別遵守事項の設定及び変更)

第五十条  地方委員会は、法第五十二条第二項 (売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定により、少年院からの仮退院、仮釈放又は婦人補導院からの仮退院を許す旨の決定による釈放の時までに特別遵守事項を定め、又は変更するに当たり、当該決定の対象となる者が収容されている矯正施設の長又は当該決定の対象となる者について法第八十二条第一項 若しくは売春防止法第二十四条第一項 の規定による生活環境の調整を行う保護観察所の長から特別遵守事項に関する意見が表明されているときは、当該意見を考慮するものとする。

2  前項の矯正施設の長又は保護観察所の長は、少年院からの仮退院、仮釈放又は婦人補導院からの仮退院を許す旨の決定による釈放の時までに、当該決定の対象とされた者について、特別遵守事項を定め、又は変更すべき事情が生じたと認めるときは、速やかに、当該決定をした地方委員会に対し、書面により、その旨及びその内容を通知しなければならない。

3  保護観察所の長は、少年院仮退院者、仮釈放者又は婦人補導院仮退院者について、特別遵守事項を定め、又は変更すべき事情が生じたと認めるときは、定めるべき又は変更すべき特別遵守事項の内容を書面により示すとともに、必要な資料を提示して、法第五十二条第二項 に規定する申出をするものとする。

(刑法第二十七条の二 の規定による猶予の期間の開始までの間における保護観察付一部猶予者の特別遵守事項の設定及び変更)

第五十条の二  地方委員会は、保護観察付一部猶予者(仮釈放中の者を除く。)について、法第五十二条第四項 の規定により、猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を定め、又は変更するに当たり、その者が収容されている刑事施設若しくは少年院の長又は法第八十二条第一項 の規定による生活環境の調整を行う保護観察所の長から猶予期間中の保護観察における特別遵守事項に関する意見が表明されているときは、当該意見を考慮するものとする。

2  前項の刑事施設若しくは少年院の長又は保護観察所の長は、保護観察付一部猶予者について、刑法第二十七条の二 の規定による猶予の期間の開始(保護観察付一部猶予者が仮釈放を許す旨の決定を受けた者である場合は、釈放。第五十二条第七項及び第九十九条の二第二項において同じ。)までの間に、猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を定め、又は変更すべき事情が生じたと認めるときは、速やかに、その者を収容中の刑事施設又は少年院の所在地を管轄する地方委員会に対し、書面により、その旨及びその内容を通知しなければならない。

3  保護観察所の長は、仮釈放中の保護観察付一部猶予者について、猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を定め、又は変更すべき事情が生じたと認めるときは、定めるべき又は変更すべき特別遵守事項の内容を書面により示すとともに、必要な資料を提示して、法第五十二条第四項 後段に規定する申出をするものとする。

(保護観察付執行猶予者の特別遵守事項の設定及び変更)

第五十一条  保護観察所の長は、法第五十二条第五項 の規定により特別遵守事項を定めるときは、刑法第二十五条の二第一項 の規定により保護観察に付する旨の言渡しをした裁判所から、書面により特別遵守事項に関する意見の通知を受け、その意見の範囲内で定めるものとする。

2  保護観察所の長は、法第五十二条第六項 の規定により特別遵守事項を定め、又は変更するときは、同項 の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所に対し、定めようとする又は変更しようとする特別遵守事項の内容を書面により示し、これが不相当であるかどうかについての意見を求めるものとする。

(特別遵守事項の取消し等)

第五十二条  保護観察所の長は、次の各号のいずれかに該当するときは、法第五十三条第一項 の規定による特別遵守事項の取消し又は同条第二項 (売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。以下同じ。)若しくは同条第四項 に規定する申出をするものとする。

一  特別遵守事項(法第五十一条 (売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。)第二項第四号 、第五号及び第六号に掲げる事項を除く。)について、保護観察対象者の遵守の意欲及び態度、遵守していると認める期間その他の遵守の状況並びに指導監督の状況等を考慮し、これを取り消しても、必要な指導監督を行うことについて支障がなく、保護観察対象者が健全な生活態度を保持することができると認めるとき。

二  前号に規定する場合のほか、特別遵守事項について、保護観察対象者の改善更生のために特に必要とは認められなくなったとき。

2  前項の規定による申出は、取り消すべき特別遵守事項及びその理由を書面により示すとともに、必要な資料を提示してするものとする。

3  法第五十三条第二項 又は同条第四項 の決定(保護観察所の長の申出による場合に限る。)は、第一項の規定による申出を相当と認めるときにするものとする。

4  第一項又は前項の規定による特別遵守事項の取消しは、当該取消しに係る特別遵守事項の内容を法第五十六条 (売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。以下同じ。)第一項 の規定により生活行動指針として定めることを妨げない。

5  保護観察所の長は、第一項又は第三項の規定による特別遵守事項の取消しがあったときは、速やかに、保護観察対象者に対し、書面により、その旨を通知しなければならない。遵守すべき期間が定められている特別遵守事項について当該期間が満了したときその他その性質上一定の事実が生ずるまでの間遵守すべきこととされる特別遵守事項について当該事実が生じたときも、同様とする。

6  第五十条第一項の規定は、地方委員会が、少年院からの仮退院、仮釈放又は婦人補導院からの仮退院を許す旨の決定による釈放の時までに特別遵守事項を取り消す場合について、同条第二項の規定は、同項の矯正施設の長又は保護観察所の長が、少年院からの仮退院、仮釈放又は婦人補導院からの仮退院を許す旨の決定による釈放の時までに、当該決定の対象とされた者について特別遵守事項を取り消すべき事情が生じたと認める場合について、それぞれ準用する。

7  第五十条の二第一項の規定は、法第五十三条第四項 の規定により刑法第二十七条の二 の規定による猶予の期間の開始までの間に特別遵守事項を取り消す場合について、第五十条の二第二項の規定は、刑法第二十七条の二 の規定による猶予の期間の開始までの間に保護観察付一部猶予者につき定められている猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を取り消すべき事情が生じたと認める場合について、それぞれ準用する。

(遵守事項の通知)

第五十三条  保護観察所の長は、保護観察処分少年又は保護観察付執行猶予者に対し、法第五十四条第一項 の規定により一般遵守事項の内容を記載した書面を交付するときは、遵守事項を遵守することの重要性について自覚を促すため、これを遵守する旨の誓約をすることを求めるものとする。保護観察対象者に対し、法第五十五条 (売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)第一項 本文の規定により特別遵守事項の内容を記載した書面を交付するときも、同様とする。

2  前項の規定は、矯正施設の長が、法第五十四条第二項 (売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。)の規定により一般遵守事項の内容を記載した書面を交付する場合及び法第五十五条第二項 本文の規定により特別遵守事項の内容を記載した書面を交付する場合について準用する。

     第四款 生活行動指針

 

(生活行動指針の設定等)

第五十四条  生活行動指針は、第四十一条第一項の規定により把握した結果及び特別遵守事項の内容を踏まえて定めるものとする。

2  法第五十六条第二項 の規定により生活行動指針の内容を記載した書面を交付するときは、保護観察官又は保護司をして行わせるものとする。

(生活行動指針の変更及び取消し等)

第五十五条  保護観察所の長は、生活行動指針を変更することができる。

2  保護観察所の長は、生活行動指針につき、必要がなくなったと認めるときは、これを取り消すものとする。

3  保護観察所の長は、生活行動指針を変更し、又は取り消したときは、速やかに、保護観察対象者に対し、書面により、その旨を通知しなければならない。

4  法第七十条第一項 の規定による処分又は法第八十一条第一項 に規定する処分があったときは、当該処分を受けた保護観察処分少年又は保護観察付執行猶予者について定められている生活行動指針は、当該処分と同時に取り消されたものとみなす。

     第五款 補導援護

 

(就労のための補導援護)

第五十六条  保護観察所の長は、法第五十八条第三号 に掲げる方法により補導援護を行うに当たっては、保護観察対象者の就労意欲を喚起し、就労に必要な態度及び技能が習得され、就労の習慣が定着するよう助言その他の措置をとるものとする。

2  保護観察所の長は、前項の場合において、必要があると認めるときは、保護観察対象者の就労意欲、職業能力、年齢、経歴、心身の状況、生活の計画等を勘案し、職業訓練を実施するものとする。

3  保護観察所の長は、前二項に規定する補導援護を行うに当たっては、公共職業安定所との連携協力に努めるものとする。

(生活指導)

第五十七条  法第五十八条第六号 に掲げる方法による補導援護は、保護観察対象者をして、自律及び協調の精神を会得させ、健全な社会生活を営むために必要な態度、習慣及び能力を養わせるよう行うものとする。

(委託の手続)

第五十八条  保護観察所の長は、法第六十一条第二項 (法第八十八条 の規定によりその例によることとされる場合及び売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。)の規定により補導援護を委託して行うときは、保護観察対象者の意向を参酌し、当該補導援護としてとるべき措置を選定し、その委託先及び委託期間を定めなければならない。

2  保護観察所の長は、前項の規定により選定した措置の内容並びに同項の規定により定めた委託先及び委託期間を保護観察対象者に知らせなければならない。

第五十九条  前条第一項の委託は、委託する内容、委託の開始及び終了の年月日、保護観察対象者の氏名、生年月日、住居、経歴及び心身の状況その他参考となる事項を記載した書面をもって行うものとする。ただし、急速を要するときは、当該書面の写しをファクシミリ装置を用いて送信する方法その他の適当な方法によることができる。

2  前項ただし書の場合においては、事後において、遅滞なく、同項本文に規定する書面を委託を受けた者(以下「受託者」という。)に送付するものとする。

(誓約)

第六十条  保護観察所の長は、第五十八条第一項の規定により補導援護を委託して行うときは、保護観察対象者に、委託期間中は受託者の指示に従い、改善更生に努める旨の誓約をさせるものとする。

(実施報告等)

第六十一条  保護観察所の長は、委託した補導援護を受託者が終了したとき又は必要があると認めるときは、速やかに、受託者に、書面により、当該委託に係る事務の実施状況を報告させなければならない。

2  保護観察所の長は、保護観察対象者について、次に掲げる事由が生じたときは、直ちに、受託者に、これを報告させなければならない。

一  受託者の指示に従わず、又は無断で転居し、若しくは所在が不明であるため、委託を受けた補導援護の措置をとることができないとき。

二  委託を受けた補導援護の措置を受ける意思がない旨の申出があったとき。

三  受託者において、委託を受けた補導援護の目的を達し、これを継続する必要がないと認めるとき。

四  受託者において、犯罪又は非行に結び付くおそれのある行動を認めたとき。

五  感染症その他重い疾病にかかったとき。

六  死亡したとき。

七  その他受託者において、委託を受けた補導援護の措置をとることに支障を及ぼす事情が生じたと認めるとき。

3  保護観察所の長は、委託した補導援護が適切に行われるよう、その状況を把握し、受託者に対し必要な指示その他の措置をとるものとする。

(委託の変更及び解除)

第六十二条  保護観察所の長は、必要があると認めるときは、受託者の意見及び保護観察対象者の意向を参酌し、委託先若しくは委託内容の変更又は委託の解除を行うものとする。

2  保護観察所の長は、前項の規定による変更又は解除を行ったときは、速やかに、受託者に対し、その旨を通知しなければならない。

     第六款 保護者に対する措置等

 

(保護者に対する措置)

第六十三条  法第五十九条 の規定によりとる措置は、次に掲げる措置その他の保護観察所の長が必要と認める措置とする。

一  保護観察に付されている少年の心身の状況及び生活の実態を把握し、保護観察官又は保護司と協力して、適切にその監護に当たるよう指導し、又は助言すること。

二  保護観察に付されている少年の改善更生を妨げていると認められる保護者の行状について、これを改めるよう指導し、又は助言すること。

三  保護観察に付されている少年の監護について必要な情報の提供を受け、又は監護の意欲を高め、若しくはその能力を向上させるための講習会等に参加するよう指導し、又は助言すること。

2  前項の措置をとるに当たっては、保護観察に付されている少年と保護者が良好な関係を築くことができるよう配意するものとする。

(保護者に対する通知)

第六十四条  保護観察所の長は、保護観察処分少年(少年法第二条第一項 に規定する少年に限る。以下この項において同じ。)に対し、第五十二条第五項、第八十二条第二項、第八十三条第三項及び第八十四条第三項の規定による通知をしたときは当該通知の内容を、法第五十四条第一項 及び法第五十五条第一項 本文の規定による書面の交付をしたときは当該書面の内容を、法第六十七条第一項 の規定による警告(以下「警告」という。)を発したときはその旨を、それぞれ、その保護者に対し、通知するものとする。ただし、その通知をすることが当該保護観察処分少年の改善更生を妨げるおそれがあり、又は保護観察の実施状況その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。

2  保護観察所の長は、少年院仮退院者(少年法第二条第一項 に規定する少年に限る。以下この項において同じ。)に対し、保護観察を開始したときは一般遵守事項及び法第四十一条 の決定による釈放の時において定められていた特別遵守事項の内容を、第五十二条第五項及び第八十八条第一項の規定による通知をしたときは当該通知の内容を、法第五十五条第一項 本文の規定による書面の交付をしたときは当該書面の内容を、法第七十四条第一項 の決定があったときはその旨を、それぞれ、その保護者に対し、通知するものとする。前項ただし書の規定は、この場合について準用する。

     第七款 応急の救護

 

(応急の救護の措置)

第六十五条  法第六十二条 (法第八十八条 の規定によりその例によることとされる場合及び売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。以下同じ。)第二項 の規定による救護は、次に掲げる方法その他の保護観察所の長が必要と認める方法によって行うものとする。

一  適切な住居その他の宿泊場所がない者に対し、宿泊場所並びに宿泊に必要な設備及び備品を供与すること。

二  適切な食事を得ることができない者に対し、食事を給与すること。

三  住居その他の宿泊場所への帰住を助けるため、旅費を給与し、又は貸与すること。

四  その他就業又は当面の生活を助けるために必要な金銭、衣料、器具その他の物品を給与し、又は貸与すること。

(応急の救護の措置の選定等)

第六十六条  保護観察所の長は、法第六十二条第二項 の規定により救護を行うときは、保護観察の実施状況を踏まえ、保護観察対象者の意向を参酌し、当該救護としてとるべき措置を選定するものとする。この場合において、同条第三項 の規定により当該措置を委託するときは、その委託先及び委託期間を定めなければならない。

2  保護観察所の長は、前項の規定により選定した措置の内容並びに同項の規定により定めた委託先及び委託期間を保護観察対象者に知らせなければならない。

(準用)

第六十七条  第五十九条から第六十二条までの規定は、その性質に反しない限り、法第六十二条第三項 の規定により救護を委託して行う場合について準用する。

     第八款 出頭の命令及び引致

 

(出頭の命令の方式)

第六十八条  法第六十三条 (売春防止法第二十六条第二項 において準用する場合を含む。以下次条及び第七十条において同じ。)第一項 の規定による出頭の命令は、次に掲げる事項を記載した書面によらなければならない。

一  保護観察対象者の氏名

二  出頭すべき日時及び場所

三  正当な理由がないのに出頭の命令に応じないときは、引致されることがある旨

(引致状の請求の方式)

第六十九条  法第六十三条第四項 に規定する引致状の請求は、次に掲げる事項を記載した書面によらなければならない。

一  引致すべき保護観察対象者の氏名、生年月日、職業及び住居

二  前号の者が保護観察に付されていることを明らかにする事項

三  法第六十三条第二項 各号のいずれかに該当する事実の要旨及び引致を必要とする理由

四  引致すべき場所

五  七日を超える有効期間を必要とするときは、その期間及び事由

六  引致状を数通必要とするときは、その数及び事由

2  前項の書面には、その謄本一通を添付しなければならない。

(引致状の執行の嘱託)

第七十条  法第六十三条第六項 ただし書の規定による引致状の執行の嘱託は、書面によらなければならない。ただし、急速を要するときは、電話その他の適当な方法によることができる。

2  前項ただし書の場合においては、事後において、速やかに、同項本文の書面を送付するものとする。

     第九款 被害者等の心情等の伝達

 

(心情等の伝達の申出の際に明らかにすべき事項)

第七十一条  法第六十五条第一項 に規定する申出は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

一  申出人の氏名又は名称及び住所

二  当該申出に係る保護観察対象者を特定するに足りる事項

三  申出人が法第六十五条第一項 に規定する申出をすることができる者であること。

(心情等の聴取の方法)

第七十二条  法第六十五条第一項 の規定による心情等の聴取は、保護観察官をして行わせるものとする。

2  前項の聴取は、被害者等の心身の状況その他の事情を考慮し相当と認めるときは、当該心情等を記載した書面の提出を受けることにより行うことができる。

(心情等の聴取に係る通知)

第七十三条  保護観察所の長は、法第六十五条第一項 の規定により心情等を聴取するときは、第七十一条の申出をした被害者等に対し、聴取の日時及び場所(前条第二項の規定により書面の提出を受ける場合には、提出先及び提出期限)を通知しなければならない。

2  保護観察所の長は、法第六十五条第一項 ただし書の規定により心情等を聴取しないこととしたときは、第七十一条の申出をした被害者等に対し、その旨を通知しなければならない。

(心情等の聴取に当たっての配慮)

第七十四条  第二十七条の規定は、法第六十五条第一項 の規定により心情等を聴取する場合について準用する。

(心情等の伝達の方法)

第七十五条  法第六十五条第一項 の規定による心情等の伝達は、保護観察官をして、口頭により行わせるものとする。

(心情等の伝達に係る通知)

第七十六条  保護観察所の長は、法第六十五条第一項 の規定により心情等を伝達したときはその旨及び伝達した日を、同項 ただし書の規定により心情等の伝達をしないこととしたときはその旨を、それぞれ、第七十一条の申出をした被害者等に対し、通知しなければならない。

     第十款 規制薬物等に対する依存がある保護観察対象者に関する特則

 

(関係機関等との緊密な連携の確保)

第七十六条の二  保護観察所の長は、規制薬物等に対する依存がある保護観察対象者に対する保護観察を実施するに当たっては、第四十二条の実施計画において、その依存の改善に資する医療又は援助を行う病院、公共の衛生福祉に関する機関その他の者との緊密な連携に関する事項を定めるものとする。

(保護観察対象者の意思に反しないことの確認)

第七十六条の三  法第六十五条の三第二項 の保護観察対象者の意思に反しないことの確認は、当該保護観察対象者に対し、とろうとする措置の目的及び内容を書面の交付その他の適当な方法により示した上で、行うものとする。

    第二節 保護観察処分少年

 

(警告の方式等)

第七十七条  警告は、遵守事項を遵守しなかったことの情状、保護観察の実施状況等を考慮し、警告を発しなければなお遵守事項を遵守しないおそれがあると認めるときに発するものとする。

2  保護観察所の長は、警告を発するに当たっては、警告を受ける保護観察処分少年が、遵守事項を遵守することの重要性を自覚し、自発的に健全な生活態度を保持するよう促し、当該保護観察処分少年に対する警告後の保護観察の実効性を確保するよう努めなければならない。

第七十八条  警告は、保護観察官をして、保護観察処分少年の面前で、次に掲げる事項について記載した書面を朗読させ、これを交付させることにより発するものとする。

一  保護観察処分少年の氏名

二  警告の年月日

三  遵守しなかったと認める遵守事項

四  なお遵守事項を遵守せず、その程度が重いと認めるときは法第六十七条第二項 の規定による少年法第二十六条の四第一項 の決定の申請(以下「施設送致申請」という。)をすることがある旨

五  その他警告後の保護観察に特に必要と認める事項

(施設送致申請の方式等)

第七十九条  施設送致申請は、警告を受けた保護観察処分少年が、警告に係る遵守事項を遵守しなかった場合において、当該遵守事項を遵守しなかったことの情状、警告後の保護観察の実施状況等を考慮し、その程度が重く、かつ、保護観察によっては当該保護観察処分少年の改善更生を図ることができないと認めるときにするものとする。

第八十条  施設送致申請は、次に掲げる事項を記載した書面によらなければならない。

一  保護観察処分少年の氏名、生年月日、職業、本籍及び住居

二  保護者の氏名、年齢、職業及び住居

三  保護処分をした家庭裁判所の名称及びその年月日

四  警告を発した年月日及び理由

五  施設送致申請の理由

六  必要とする保護処分の種類及び収容期間(収容期間については、保護観察処分少年が二十歳以上である場合に限る。)

七  その他参考となる事項

2  施設送致申請は、保護観察処分少年の居住地(住居がないか、又は明らかでないときは、現在地)を管轄する家庭裁判所に対してしなければならない。

(通告の方式)

第八十一条  法第六十八条第一項 の規定による通告は、次に掲げる事項を記載した書面によらなければならない。

一  保護観察処分少年の氏名、生年月日、職業、本籍及び住居

二  保護者の氏名、年齢、職業及び住居

三  保護処分をした家庭裁判所の名称及びその年月日

四  通告の理由

五  必要とする保護処分の種類及び期間(期間については、保護観察処分少年が二十歳以上である場合に限る。)

六  その他参考となる事項

2  前条第二項の規定は、前項の通告について準用する。

(保護観察の解除の基準等)

第八十二条  法第六十九条 の規定による保護観察を解除する処分は、健全な生活態度を保持している保護観察処分少年について、その性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係、保護観察の実施状況等を考慮し、保護観察を継続しなくとも、当該生活態度を保持し、善良な社会の一員として自立し、確実に改善更生することができると認めるときにするものとする。

2  保護観察所の長は、前項の処分をしたときは、保護観察処分少年に対し、当該処分をした年月日を記載した書面により、その旨を通知しなければならない。

(保護観察の一時解除の基準等)

第八十三条  法第七十条第一項 の規定による保護観察を一時的に解除する処分(以下「保護観察の一時解除」という。)は、健全な生活態度を保持している保護観察処分少年について、その性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係、保護観察の実施状況等を考慮し、保護観察を一時的に解除することで、当該生活態度を保持し、善良な社会の一員として自立し、改善更生することを促進すると認めるとき(前条第一項に該当するときを除く。)にするものとする。

2  法第七十条第一項 の期間は、保護観察の一時解除をした日から起算して三月を超えて定めることができない。

3  保護観察所の長は、保護観察の一時解除をしたときは、速やかに、保護観察処分少年に対し、次に掲げる事項を記載した書面により、その旨を通知しなければならない。

一  保護観察の一時解除の期間

二  保護観察の一時解除の期間中、法第七十条第三項 の規定により読み替えて適用される法第五十条第一項 に掲げる事項を遵守すべきこと。

4  第二項の規定は、同項の期間が満了した場合に、第一項の規定により更に保護観察の一時解除をすることを妨げない。

(保護観察の一時解除の期間中における調査等)

第八十四条  保護観察所の長は、前条第二項の期間が満了するに当たり、保護観察官又は保護司をして、保護観察の一時解除の期間中の保護観察処分少年について、法第六十九条 の規定により保護観察を解除するか否かを判断するための調査を行わせるものとする。

2  保護観察所の長は、保護観察の一時解除の期間中の保護観察処分少年が、法第七十条第三項 の規定により読み替えて適用される法第五十条第一項 に掲げる事項を遵守しなかったと認めるときは、法第七十条第五項 の規定により、保護観察の一時解除を取り消すものとする。

3  保護観察所の長は、法第七十条第五項 の規定により保護観察の一時解除を取り消したときは、速やかに、保護観察処分少年に対し、保護観察の一時解除を取り消した年月日を記載した書面により、その旨を通知しなければならない。

    第三節 少年院仮退院者

 

(少年院への戻し収容の申出の基準)

第八十五条  法第七十一条 に規定する申出は、少年院仮退院者が遵守事項を遵守しなかった場合において、当該遵守事項を遵守しなかったことの情状、保護観察の実施状況等を考慮し、少年院に戻して処遇を行うことが必要かつ相当と認めるときにするものとする。ただし、二十三歳に達している少年院仮退院者については、少年院法第百三十九条第一項 に規定する事由に該当すると認めるときに限る。

(少年院への戻し収容の申請の方式等)

第八十六条  法第七十一条 の規定による申請は、前条の規定による申出を相当と認めるときにするものとする。

第八十七条  前条の申請は、次に掲げる事項を記載した書面によらなければならない。

一  少年院仮退院者の氏名、生年月日、職業、本籍及び住居

二  保護者の氏名、年齢、職業及び住居

三  保護処分をした家庭裁判所の名称及びその年月日

四  少年院からの仮退院を許す旨の決定をした地方委員会の名称

五  少年院からの仮退院の年月日及びその時点において収容されていた少年院の名称

六  申請の理由

七  必要とする収容期間(少年院仮退院者が二十歳以上である場合に限る。)

八  その他参考となる事項

2  地方委員会は、前条の申請をする場合において、少年院仮退院者が二十歳に満たない場合であっても、当該少年院仮退院者を二十歳を超えて少年院に収容するのを相当と認めるときは、前項の書面に、同項第七号に掲げる事項を記載するものとする。

(戻し収容の申請をするか否かに関する審理の開始等)

第八十八条  地方委員会は、法第六十三条第二項 又は第三項 の引致状により引致された少年院仮退院者について、法第七十一条 の規定による申請をするか否かに関する審理を開始したときは、当該少年院仮退院者に対し、その旨を通知しなければならない。この場合において、法第七十三条第一項 の規定により留置するときは、その旨を併せて通知しなければならない。

2  前項後段の留置は、同項の少年院仮退院者について、同項前段の審理を開始する時点において、法第六十三条第二項 各号のいずれにも該当しないと認めるときは、これをすることができない。

3  地方委員会は、法第七十三条第一項 の規定により留置している少年院仮退院者について、法第七十一条 の規定による申請をする必要がなくなったときは、法第七十三条第二項 ただし書の規定により、直ちに当該少年院仮退院者を釈放しなければならない。

(少年院仮退院者の退院の基準等)

第八十九条  法第七十四条第一項 に規定する申出は、健全な生活態度を保持している少年院仮退院者について、その性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係、保護観察の実施状況等を考慮し、保護観察を継続しなくとも、当該生活態度を保持し、善良な社会の一員として自立し、確実に改善更生することができると認めるときにするものとする。

2  前項の規定にかかわらず、保護観察所の長は、二十三歳を超える少年院仮退院者について、少年院法第百三十九条第一項 に規定する事由に該当しなくなったと認めるときは、前項の申出をしなければならない。

第九十条  法第七十四条第一項 の決定は、前条第一項又は第二項の規定による申出を相当と認めるときにするものとする。

    第四節 仮釈放者

 

(仮釈放の取消しの申出の方式等)

第九十一条  法第七十五条第二項 に規定する申出は、仮釈放者が遵守事項を遵守しなかった場合において、当該遵守事項を遵守しなかったことの情状、保護観察の実施状況等を考慮し、その改善更生のために保護観察を継続することが相当であると認められる特別の事情がないときにするものとする。

第九十二条  前条の規定による申出は、次に掲げる事項を記載した書面によらなければならない。

一  仮釈放者の氏名、生年月日、職業、本籍及び住居

二  刑の言渡しをした裁判所の名称及びその年月日

三  罪名、刑名及び刑期

四  仮釈放を許す旨の決定をした地方委員会の名称

五  仮釈放の年月日及びその時点において収容されていた刑事施設又は少年院の名称

六  申出の理由

七  その他参考となる事項

2  前項の申出に係る刑の一部について執行猶予の言渡しがあるときは、前項各号に掲げる事項のほか、その刑のうち執行を猶予された部分の期間並びに猶予の期間及び当該猶予の期間中の保護観察の有無を記載するものとする。

(仮釈放の取消事由の通知)

第九十三条  保護観察所の長は、仮釈放者について、刑法第二十九条第一項第一号 から第三号 までのいずれかに該当する事由があると認めるときは、速やかに、地方委員会に対し、当該事由及び前条各号(第六号を除く。)に掲げる事項を記載した書面により、その旨を通知しなければならない。

(仮釈放を取り消すか否かに関する審理の開始等)

第九十四条  第八十八条の規定は、法第六十三条第二項 又は第三項 の引致状により引致された仮釈放者について準用する。この場合において、第八十八条第一項及び第三項中「法第七十一条 の規定による申請」とあるのは「法第七十五条第一項 の決定」と、「法第七十三条第一項 」とあるのは「法第七十六条第一項 」と、同項 中「法第七十三条第二項 」とあるのは「法第七十六条第三項 において準用する法第七十三条第二項 」と読み替えるものとする。

第九十五条  地方委員会は、法第七十五条第一項 の決定をするか否かに関する審理において、必要があると認めるときは、その構成員である委員又は保護観察官をして、審理対象者と面接させるものとする。

(仮釈放の取消しの決定)

第九十六条  刑法第二十九条第一項第四号 に該当することを理由とする法第七十五条第一項 の決定は、第二十八条に定める基準に照らし、第九十一条の規定による申出を相当と認めるときにするものとする。

(保護観察の停止の申出等)

第九十七条  保護観察所の長は、仮釈放者について、法第五十条第一項第四号 に規定する住居に居住していないこと(法第五十一条第二項第五号 の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合には、当該場所に宿泊していないこと)を認めたとき(その居住地を把握している場合を除く。)は、速やかに、書面により、法第七十七条第一項 に規定する申出をするものとする。

2  保護観察所の長は、法第七十七条第一項 の規定により保護観察を停止されている仮釈放者について、保護観察官又は保護司をして、その所在の調査を行わせるものとする。

3  保護観察所の長は、法第七十七条第一項 の規定により保護観察を停止されている仮釈放者の所在が判明したときは、直ちに、その所在の地を管轄する地方委員会に対し、その旨を通知しなければならない。

4  保護観察所の長は、法第七十七条第一項 の規定により保護観察を停止されている仮釈放者について、保護観察の停止の理由がなかったことが明らかになったときは、直ちに、同項 の決定をした地方委員会に対し、その旨を通知しなければならない。

(仮釈放者の不定期刑の終了の基準等)

第九十八条  法第七十八条第一項 に規定する申出は、健全な生活態度を保持している仮釈放者について、その性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係、保護観察の実施状況等を考慮し、保護観察を継続しなくとも、当該生活態度を保持し、善良な社会の一員として自立し、確実に改善更生することができると認めるときにするものとする。

第九十九条  法第七十八条第一項 の決定は、前条の規定による申出を相当と認めるときにするものとする。

    第五節 保護観察付執行猶予者

 

(住居の特定の基準等)

第九十九条の二  法第七十八条の二第一項 の決定は、法第八十二条第一項 の規定による調整の結果に係る住居について、その生活環境及び保護観察付一部猶予者の心身の状況等を考慮し、釈放後当該住居に居住することによってその者の改善更生が妨げられるおそれがないと認められるときにするものとする。

2  刑事施設若しくは少年院の長又は保護観察所の長は、法第七十八条の二第一項 の決定を受けた保護観察付一部猶予者について、刑法第二十七条の二 の規定による猶予の期間の開始までの間に、法第七十八条の二第二項 に規定する事情が生じたと認めるときは、速やかに、当該決定をした地方委員会に対し、その旨及びその内容を通知しなければならない。

3  保護観察所の長は、法第七十八条の二第一項 の決定を受けた仮釈放中の保護観察付一部猶予者について、同条第二項 に規定する事情が生じたと認めるときは、速やかに、当該保護観察所の所在地を管轄する地方委員会に対し、当該特定を取り消すべき旨の申出を行うものとする。

4  地方委員会は、前項に規定する保護観察付一部猶予者について、同項の申出によらず法第七十八条の二第二項 の規定による取消しをしようとするときは、あらかじめ、保護観察所の長の意見を聴かなければならない。

(検察官への申出の方式等)

第百条  法第七十九条 の規定による申出は、保護観察付執行猶予者が遵守事項を遵守しなかった場合において、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定めるときにするものとする。

一  刑法第二十六条の二第二号 の規定による取消し 保護観察の実施状況等を考慮し、遵守事項を遵守しなかったことの情状が重いと認めるとき。

二  刑法第二十七条の五第二号 の規定による取消し 遵守事項を遵守しなかったことの情状、保護観察の実施状況等を考慮し、その改善更生のために保護観察を継続することが相当であると認められる特別の事情がないとき。

第百一条  前条の申出は、次に掲げる事項を記載した書面によらなければならない。

一  保護観察付執行猶予者の氏名、生年月日、職業、本籍及び住居

二  刑法第二十五条の二第一項 若しくは第二十七条の三第一項 又は薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律第四条第一項 の規定により保護観察に付する旨の言渡しをした裁判所の名称及びその年月日

三  罪名、刑名、刑期(一部猶予者にあっては、その刑のうち執行を猶予された部分の期間を含む。)及び前号に掲げる保護観察が付された猶予の期間

四  申出の理由

五  その他参考となる事項

(検察官への申出をするか否かに関する審理の開始等)

第百二条  第八十八条第一項及び第二項の規定は、保護観察所の長が、法第六十三条第二項 の引致状により保護観察付執行猶予者を引致した場合について準用する。この場合において、第八十八条第一項中「法第七十一条 の規定による申請」とあるのは「法第七十九条 の規定による申出」と、「法第七十三条第一項 」とあるのは「法第八十条第一項 」と読み替えるものとする。

(保護観察の仮解除の基準等)

第百三条  法第八十一条第一項 に規定する申出は、健全な生活態度を保持している保護観察付執行猶予者について、その性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係、保護観察の実施状況等を考慮し、保護観察を仮に解除しても、当該生活態度を保持し、善良な社会の一員として自立し、改善更生することができると認めるときにするものとする。

第百四条  法第八十一条第一項 の決定は、前条の規定による申出を相当と認めるときにするものとする。

(保護観察の仮解除中における調査等)

第百五条  保護観察所の長は、刑法第二十五条の二第二項 又は第二十七条の三第二項 (薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律第四条第二項 において準用する場合を含む。)の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者の行状について、保護観察官又は保護司をして、定期的に調査を行わせるものとする。再び保護観察を実施する必要があるか否かを判断するために必要があると認めるときも、同様とする。

2  保護観察所の長は、前項の規定による調査の結果その他により、同項の保護観察付執行猶予者について、その行状にかんがみ再び保護観察を実施する必要があると認めるときは、速やかに、書面により、法第八十一条第五項 に規定する申出をするものとする。

    第六節 婦人補導院仮退院者

 

(婦人補導院からの仮退院の取消しの申出の方式等)

第百六条  売春防止法第二十七条第一項 に規定する申出は、婦人補導院仮退院者が遵守事項を遵守しなかった場合において、当該遵守事項を遵守しなかったことの情状、保護観察の実施状況等を考慮し、再び婦人補導院に収容して処遇を行うことが必要かつ相当と認めるときにするものとする。

第百七条  前条の規定による申出は、次に掲げる事項を記載した書面によらなければならない。

一  婦人補導院仮退院者の氏名、生年月日、職業、本籍及び住居

二  売春防止法第十七条第一項 の規定により補導処分に付する旨の言渡しをした裁判所の名称及びその年月日

三  罪名、刑名及び刑期

四  婦人補導院からの仮退院を許す旨の決定をした地方委員会の名称

五  婦人補導院からの仮退院の年月日及びその時点において収容されていた婦人補導院の名称

六  申出の理由

七  その他参考となる事項

(婦人補導院からの仮退院を取り消すか否かに関する審理の開始等)

第百八条  第八十八条の規定は、売春防止法第二十六条第二項 において準用する法第六十三条第二項 又は第三項 の引致状により引致された婦人補導院仮退院者について準用する。この場合において、第八十八条第一項及び第三項中「法第七十一条 の規定による申請」とあるのは「売春防止法第二十七条第一項 の決定」と、同条第一項 中「法第七十三条第一項 」とあるのは「同条第二項 において準用する法第七十三条第一項 」と、同条第二項 中「法第六十三条第二項 」とあるのは「売春防止法第二十六条第二項 において準用する法第六十三条第二項 」と、同条第三項 中「法第七十三条第一項 」とあるのは「売春防止法第二十七条第二項 において準用する法第七十三条第一項 」と、「法第七十三条第二項 」とあるのは「同条第二項 において準用する法第七十三条第二項 」と読み替えるものとする。

2  第九十五条の規定は、売春防止法第二十七条第一項 の決定をするか否かに関する審理について準用する。

(婦人補導院からの仮退院の取消しの決定)

第百九条  売春防止法第二十七条第一項 の決定は、第三十一条に定める基準に照らし、第百六条の規定による申出を相当と認めるときにするものとする。

    第七節 地方委員会の審理に関する規定の準用

 

第百十条  第十六条の規定は、その性質に反しない限り、第九十九条の二第三項、法第五十二条第二項 及び第四項 後段、法第五十三条第二項 及び第四項 後段、法第七十一条 、法第七十四条第一項 、法第七十五条第二項 、法第七十七条第一項 、法第七十八条第一項 、法第八十一条第一項 及び第五項 並びに売春防止法第二十七条第一項 に規定する申出について準用する。

2  第十八条から第二十条まで、第二十二条及び第三十二条の規定は、その性質に反しない限り、法第五十二条第二項 及び第四項 、法第五十三条第二項 及び第四項 、法第七十四条第一項 、法第七十五条第一項 、法第七十七条第一項 、第二項及び第七項、法第七十八条第一項 、法第七十八条の二第一項 及び第二項 、法第八十一条第一項 及び第五項 並びに売春防止法第二十七条第一項 の決定をするか否かに関する審理並びに法第七十一条 の規定による申請をするか否かに関する審理について準用する。

3  第二十三条の規定は、前項の審理(法第七十七条第一項 、第二項及び第七項の決定をするか否かに関するものを除く。)の対象とされている者の保護観察を他の保護観察所がつかさどることとなった場合について準用する。

   第四章 生活環境の調整

 

(生活環境の調整の計画並びに保護観察官及び保護司の指名)

第百十一条  第四十二条及び第四十三条の規定は、法第八十二条第一項 、法第八十三条 及び売春防止法第二十四条第一項 の規定による生活環境の調整について準用する。この場合において、第四十二条第一項中「処遇の目標並びに指導監督及び補導援護の方法並びにとるべき措置」とあるのは「調整を要する事項及び行うべき調整」と、「、とるべき措置」とあるのは「、行うべき調整」と、第四十三条第一項、第二項及び第四項中「指導監督及び補導援護」とあるのは「生活環境の調整」と読み替えるものとする。

(収容中の者に対する生活環境の調整の方法)

第百十二条  保護観察所の長は、法第八十二条第一項 及び売春防止法第二十四条第一項 の規定による生活環境の調整においては、これらの規定に掲げる者(以下「生活環境調整対象者」という。)が釈放された後に、健全な生活態度を保持し、自立した生活を営むことについて、必要となるものが確保でき、かつ、これを妨げるもののない生活環境が備わるよう、次に掲げる事項に関する必要な調整を行うものとする。

一  生活環境調整対象者の釈放後の住居を確保すること。

二  引受人等を確保すること。

三  生活環境調整対象者の釈放後の改善更生を助けることについて、引受人等以外の生活環境調整対象者の家族その他の関係人の理解及び協力を求めること。

四  生活環境調整対象者の釈放後の就業先又は通学先を確保すること。

五  生活環境調整対象者の改善更生を妨げるおそれのある生活環境について、当該生活環境調整対象者が釈放された後に影響を受けないようにすること。

六  生活環境調整対象者が釈放された後に、公共の衛生福祉に関する機関その他の機関から必要な保護を受けることができるようにすること。

七  その他生活環境調整対象者が健全な生活態度を保持し、自立した生活を営むために必要な事項

2  前項の規定による調整は、生活環境調整対象者との面接又は通信その他の方法により、釈放後の生活の計画等を把握し、必要な助言等を行うとともに、引受人等又は同項第三号に掲げる関係人と必要な協議をし、これらの者、官公署、学校、病院、公共の衛生福祉に関する機関その他の者に対し、必要な援助及び協力を求めることにより、継続的に行うものとする。

3  保護観察所の長は、第一項の規定による調整を行うに当たり、必要があると認めるときは、生活環境調整対象者が収容されている矯正施設の長に対し、当該生活環境調整対象者の帰住予定地、釈放後の生活の計画等に関し、参考となる資料又は情報の提供、当該生活環境調整対象者に対する助言その他必要な協力を求めるものとする。

第百十三条  保護観察所の長は、前条第一項の規定による調整においては、次に掲げる事項について、必要な調査を保護観察官又は保護司をして行わせるものとする。

一  前条第一項第一号に掲げる住居及びその近隣の状況

二  引受人等の状況

三  前条第一項第三号に掲げる関係人の状況

四  前条第一項第四号に掲げる就業先又は通学先の状況

五  被害者等の状況

六  生活環境調整対象者の刑事施設、少年院又は婦人補導院に収容される前の生活の状況及び交友関係

七  生活環境調整対象者の心身の状況及び生計の見込み

八  その他前条第一項の規定による調整を行うために必要な事項

2  前項の規定による調査を行う者は、その事務所以外の場所において当該調査を行う場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(生活環境の調整のための地方委員会による調査)

第百十三条の二  第十七条の規定は、法第八十二条第三項 の規定による調査について準用する。この場合において、第十七条第二項中「仮釈放等の審理を開始するか否かを判断するために」とあるのは、「生活環境の調整を行うために」と読み替えるものとする。

(保護観察付執行猶予の裁判確定前の生活環境の調整)

第百十四条  法第八十三条 の同意は、刑法第二十五条の二第一項 の規定により保護観察に付する旨の言渡しを受け、その裁判が確定するまでの者に対し、法第八十三条 の規定による調整を行う事項を示した上で、書面により求めるものとする。

2  第百十二条第一項(第二号を除く。)及び第二項並びに前条(第一項第二号を除く。)の規定は、法第八十三条 の規定による生活環境の調整について準用する。この場合において、第百十二条第一項中「釈放された後」とあり、及び「釈放後」とあるのは「当該裁判が確定した後」と、同条第二項中「釈放後」とあるのは「その者の当該裁判が確定した後」と、同条第一項第三号中「引受人等以外の生活環境調整対象者の家族」とあるのは「家族」と、同条第二項中「引受人等又は同項」とあるのは「前項」と、前条第一項第六号中「刑事施設、少年院又は婦人補導院に収容される前の生活」とあるのは「生活」と読み替えるものとする。

   第五章 更生緊急保護

 

(更生緊急保護の実施の基準)

第百十五条  法第八十五条 (売春防止法第三十一条 においてみなして適用する場合を含む。以下同じ。)第一項 に規定する更生緊急保護(以下「更生緊急保護」という。)は、その対象となる者が、進んで法律を守る善良な社会の一員となり、速やかに改善更生する意欲を有する者であると認められる場合に限り、行うものとする。

(更生緊急保護の措置)

第百十六条  法第八十五条第一項 に規定する金品を給与し、若しくは貸与し、又は宿泊場所を供与することにより更生緊急保護を行うに当たっては、次に掲げる方法その他の保護観察所の長が必要と認める方法によるものとする。

一  住居その他の宿泊場所がない者に対し、宿泊場所並びに宿泊に必要な設備及び備品を供与すること。

二  食事を得ることができない者に対し、食事を給与すること。

三  住居その他の宿泊場所への帰住を助けるため、旅費を給与し、又は貸与すること。

四  その他就業又は当面の生活を助けるために必要な金銭、衣料、器具その他の物品を給与し、又は貸与すること。

第百十七条  第五十六条の規定は就職を助け、又は職業を補導することにより更生緊急保護を行う場合について、第五十七条の規定は社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うことにより更生緊急保護を行う場合について、それぞれ準用する。この場合において、第五十六条第一項及び第二項並びに第五十七条中「保護観察対象者」とあるのは、「更生緊急保護の対象となる者」と読み替えるものとする。

(更生緊急保護の申出等)

第百十八条  保護観察所の長は、更生緊急保護を受けようとする者に対し、書面により法第八十六条 (売春防止法第三十一条 においてみなして適用する場合を含む。以下同じ。)第一項 に規定する申出をさせなければならない。

2  検察官又は矯正施設の長は、法第八十五条第一項 各号に掲げる者(売春防止法第三十一条 の規定により法第八十五条第一項第一号 に掲げる者とみなされる者を含む。)について、刑事上の手続、保護処分又は補導処分による身体の拘束を解くに当たり、更生緊急保護の必要があると認めるとき又はその者がこれを希望するときは、更生緊急保護の制度及び申出の手続について記載した書面並びにその者に対する更生緊急保護の必要性に関する意見その他参考となる事項を記載した書面をその者に交付しなければならない。

(更生緊急保護の要否の調査)

第百十九条  保護観察所の長は、前条第一項の申出をした者について、更生緊急保護を行う必要があるか否かを判断するため、その者の性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係、親族の状況、生活の能力、生活の計画その他の事項について、同項の申出をした者との面接、同条第二項の更生緊急保護の必要性に関する意見その他参考となる事項を記載した書面その他による必要な調査を行わなければならない。

(更生緊急保護の措置の選定等)

第百二十条  保護観察所の長は、法第八十六条第三項 本文の規定により検察官又は矯正施設の長の意見を聴き、及び前条の規定による調査を行った結果、更生緊急保護を行う必要があると認めるときは、当該意見及び調査の結果を踏まえ、当該更生緊急保護としてとるべき措置を選定するものとする。この場合において、法第八十五条第三項 の規定により、当該措置を委託するときは、その委託先及び委託期間を定めなければならない。

2  保護観察所の長は、前項の規定により選定した措置の内容並びに同項の規定により定めた委託先及び委託期間を、第百十八条第一項の規定による申出をした者に知らせなければならない。

3  保護観察所の長は、急速を要するときは、法第八十六条第三項 本文の規定にかかわらず、必要な措置をとることができる。

(法第八十五条第四項 ただし書の規定による更生緊急保護)

第百二十一条  法第八十五条第四項 ただし書に規定する改善更生を保護するため特に必要があると認められるときとは、次の各号のいずれにも該当するときとする。

一  更生緊急保護の対象となる者の心身の状況、生活環境等に改善更生を妨げる特別の事情があると認められること。

二  更生緊急保護の対象となる者について、改善更生の意欲及びそのための努力が顕著に認められること。

三  更生緊急保護の対象となる者が公共の衛生福祉に関する機関その他の機関から必要な保護を受けることができるようあっせんしたにもかかわらず、なおその改善更生を保護する必要があること。

2  保護観察所の長は、現に更生緊急保護を受けている者が、法第八十五条第四項 ただし書の規定により、引き続きこれを受けようとするときは、改めて第百十八条第一項の規定による申出をさせなければならない。

3  前二条の規定は、前項の規定により改めて第百十八条第一項の規定による申出があった場合について準用する。この場合において、第百十九条中「、更生緊急保護」とあるのは「、法第八十五条第四項 ただし書の規定による更生緊急保護」と、「同項 」とあるのは「前条第一項」と、「、同条第二項の更生緊急保護の必要性に関する意見その他参考となる事項を記載した書面その他」とあるのは「その他」と、前条中「法第八十六条第三項 本文の規定により検察官又は矯正施設の長の意見を聴き、及び前条」とあるのは「前条」と、「意見及び調査」とあるのは「調査」と、「更生緊急保護」とあるのは、「法第八十五条第四項 ただし書の規定による更生緊急保護」と読み替えるものとする。

(準用)

第百二十二条  第五十九条から第六十二条までの規定は、その性質に反しない限り、法第八十五条第三項 の規定により更生緊急保護を委託して行う場合について準用する。

 

   附 則 抄 

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再犯の防止等の推進に関する法律

(平成28年11月14日法律第104号)

 

 

 第一章 総則(第一条―第十条) 

 第二章 基本的施策 

  第一節 国の施策(第十一条―第二十三条) 

  第二節 地方公共団体の施策(第二十四条) 

 附則 

   第一章 総則

 

(目的)

第一条  この法律は、国民の理解と協力を得つつ、犯罪をした者等の円滑な社会復帰を促進すること等による再犯の防止等が犯罪対策において重要であることに鑑み、再犯の防止等に関する施策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、再犯の防止等に関する施策の基本となる事項を定めることにより、再犯の防止等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民が犯罪による被害を受けることを防止し、安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条  この法律において「犯罪をした者等」とは、犯罪をした者又は非行少年(非行のある少年をいう。以下同じ。)若しくは非行少年であった者をいう。

2  この法律において「再犯の防止等」とは、犯罪をした者等が犯罪をすることを防ぐこと(非行少年の非行をなくすこと及び非行少年であった者が再び非行少年となることを防ぐことを含む。)をいう。

(基本理念)

第三条  再犯の防止等に関する施策は、犯罪をした者等の多くが安定した職業に就くこと及び住居を確保することができないこと等のために円滑な社会復帰をすることが困難な状況にあることを踏まえ、犯罪をした者等が、社会において孤立することなく、国民の理解と協力を得て再び社会を構成する一員となることを支援することにより、犯罪をした者等が円滑に社会に復帰することができるようにすることを旨として、講ぜられるものとする。

2  再犯の防止等に関する施策は、犯罪をした者等が、その特性に応じ、矯正施設(刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院をいう。以下同じ。)に収容されている間のみならず、社会に復帰した後も途切れることなく、必要な指導及び支援を受けられるよう、矯正施設における適切な収容及び処遇のための施策と職業及び住居の確保に係る支援をはじめとする円滑な社会復帰のための施策との有機的な連携を図りつつ、関係行政機関の相互の密接な連携の下に、総合的に講ぜられるものとする。

3  再犯の防止等に関する施策は、犯罪をした者等が、犯罪の責任等を自覚すること及び被害者等の心情を理解すること並びに自ら社会復帰のために努力することが、再犯の防止等に重要であるとの認識の下に、講ぜられるものとする。

4  再犯の防止等に関する施策は、犯罪及び非行の実態、再犯の防止等に関する各般の施策の有効性等に関する調査研究の成果等を踏まえ、効果的に講ぜられるものとする。

(国等の責務)

第四条  国は、前条の基本理念(次項において「基本理念」という。)にのっとり、再犯の防止等に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2  地方公共団体は、基本理念にのっとり、再犯の防止等に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(連携、情報の提供等)

第五条  国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。

2  国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策の実施に当たっては、再犯の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者との緊密な連携協力の確保に努めなければならない。

3  国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策の実施に当たっては、再犯の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者に対して必要な情報を適切に提供するものとする。

4  再犯の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者は、前項の規定により提供を受けた犯罪をした者等の個人情報その他の犯罪をした者等の個人情報を適切に取り扱わなければならない。

(再犯防止啓発月間)

第六条  国民の間に広く再犯の防止等についての関心と理解を深めるため、再犯防止啓発月間を設ける。

2  再犯防止啓発月間は、七月とする。

3  国及び地方公共団体は、再犯防止啓発月間の趣旨にふさわしい事業が実施されるよう努めなければならない。

(再犯防止推進計画)

第七条  政府は、再犯の防止等に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、再犯の防止等に関する施策の推進に関する計画(以下「再犯防止推進計画」という。)を定めなければならない。

2  再犯防止推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

一  再犯の防止等に関する施策の推進に関する基本的な事項

二  再犯の防止等に向けた教育及び職業訓練の充実に関する事項

三  犯罪をした者等の社会における職業及び住居の確保並びに保健医療サービス及び福祉サービスの利用に係る支援に関する事項

四  矯正施設における収容及び処遇並びに保護観察に関する体制その他の関係機関における体制の整備に関する事項

五  その他再犯の防止等に関する施策の推進に関する重要事項

3  法務大臣は、再犯防止推進計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

4  法務大臣は、再犯防止推進計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議しなければならない。

5  法務大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、再犯防止推進計画を公表しなければならない。

6  政府は、少なくとも五年ごとに、再犯防止推進計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。

7  第三項から第五項までの規定は、再犯防止推進計画の変更について準用する。

(地方再犯防止推進計画)

第八条  都道府県及び市町村は、再犯防止推進計画を勘案して、当該都道府県又は市町村における再犯の防止等に関する施策の推進に関する計画(次項において「地方再犯防止推進計画」という。)を定めるよう努めなければならない。

2  都道府県及び市町村は、地方再犯防止推進計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。

(法制上の措置等)

第九条  政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならない。

(年次報告)

第十条  政府は、毎年、国会に、政府が講じた再犯の防止等に関する施策についての報告を提出しなければならない。

   第二章 基本的施策

 

    第一節 国の施策

 

(特性に応じた指導及び支援等)

第十一条  国は、犯罪をした者等に対する指導及び支援については、矯正施設内及び社会内を通じ、指導及び支援の内容に応じ、犯罪をした者等の犯罪又は非行の内容、犯罪及び非行の経歴その他の経歴、性格、年齢、心身の状況、家庭環境、交友関係、経済的な状況その他の特性を踏まえて行うものとする。

2  国は、犯罪をした者等に対する指導については、犯罪の責任等の自覚及び被害者等の心情の理解を促すとともに、円滑な社会復帰に資するものとなるように留意しなければならない。

(就労の支援)

第十二条  国は、犯罪をした者等が自立した生活を営むことができるよう、その就労を支援するため、犯罪をした者等に対し、その勤労意欲を高め、これに職業上有用な知識及び技能を習得させる作業の矯正施設における実施、矯正施設内及び社会内を通じた職業に関する免許又は資格の取得を目的とする訓練その他の効果的な職業訓練等の実施、就職のあっせん並びに就労及びその継続に関する相談及び助言等必要な施策を講ずるものとする。

(非行少年等に対する支援)

第十三条  国は、少年が可塑性に富む等の特性を有することに鑑み、非行少年及び非行少年であった者が、早期に立ち直り、善良な社会の一員として自立し、改善更生することを助けるため、少年院、少年鑑別所、保護観察所等の関係機関と学校、家庭、地域社会及び民間の団体等が連携した指導及び支援、それらの者の能力に応じた教育を受けられるようにするための教育上必要な支援等必要な施策を講ずるものとする。

(就業の機会の確保等)

第十四条  国は、国を当事者の一方とする契約で国以外の者のする工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物品の納入に対し国が対価の支払をすべきものを締結するに当たって予算の適正な使用に留意しつつ協力雇用主(犯罪をした者等の自立及び社会復帰に協力することを目的として、犯罪をした者等を雇用し、又は雇用しようとする事業主をいう。第二十三条において同じ。)の受注の機会の増大を図るよう配慮すること、犯罪をした者等の国による雇用の推進その他犯罪をした者等の就業の機会の確保及び就業の継続を図るために必要な施策を講ずるものとする。

(住居の確保等)

第十五条  国は、犯罪をした者等のうち適切な住居、食事その他の健全な社会生活を営むために必要な手段を確保することができないことによりその改善更生が妨げられるおそれのある者の自立を支援するため、その自助の責任を踏まえつつ、宿泊場所の供与、食事の提供等必要な施策を講ずるとともに、犯罪をした者等が地域において生活を営むための住居を確保することを支援するため、公営住宅(公営住宅法 (昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第二号 に規定する公営住宅をいう。)への入居における犯罪をした者等への特別の配慮等必要な施策を講ずるものとする。

(更生保護施設に対する援助)

第十六条  国は、犯罪をした者等の宿泊場所の確保及びその改善更生に資するよう、更生保護施設の整備及び運営に関し、財政上の措置、情報の提供等必要な施策を講ずるものとする。

(保健医療サービス及び福祉サービスの提供)

第十七条  国は、犯罪をした者等のうち高齢者、障害者等であって自立した生活を営む上での困難を有するもの及び薬物等に対する依存がある者等について、その心身の状況に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう、医療、保健、福祉等に関する業務を行う関係機関における体制の整備及び充実を図るために必要な施策を講ずるとともに、当該関係機関と矯正施設、保護観察所及び民間の団体との連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。

(関係機関における体制の整備等)

第十八条  国は、犯罪をした者等に対し充実した指導及び支援を行うため、関係機関における体制を整備するとともに、再犯の防止等に係る人材の確保、養成及び資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする。

(再犯防止関係施設の整備)

第十九条  国は、再犯防止関係施設(矯正施設その他再犯の防止等に関する施策を実施する施設をいう。以下この条において同じ。)が再犯の防止等に関する施策の推進のための重要な基盤であることに鑑み、再犯防止関係施設の整備を推進するために必要な施策を講ずるものとする。

(情報の共有、検証、調査研究の推進等)

第二十条  国は、再犯の防止等に関する施策の効果的な実施に資するよう、関係機関が保有する再犯の防止等に資する情報を共有し、再犯の防止等に関する施策の実施状況及びその効果を検証し、並びに犯罪をした者等の再犯の防止等を図る上で効果的な処遇の在り方等に関する調査及び研究を推進するとともに、それらの結果等を踏まえて再犯の防止等に関する施策の在り方について検討する等必要な施策を講ずるものとする。

(社会内における適切な指導及び支援)

第二十一条  国は、犯罪をした者等のうち社会内において適切な指導及び支援を受けることが再犯の防止等に有効であると認められる者について、矯正施設における処遇を経ないで、又は一定期間の矯正施設における処遇に引き続き、社会内において指導及び支援を早期かつ効果的に受けることができるよう、必要な施策を講ずるものとする。

(国民の理解の増進及び表彰)

第二十二条  国は、再犯の防止等に関する施策の重要性について、国民の理解を深め、その協力を得られるよう必要な施策を講ずるものとする。

2  国は、再犯の防止等の推進に寄与した民間の団体及び個人の表彰に努めるものとする。

(民間の団体等に対する援助)

第二十三条  国は、保護司会及び協力雇用主その他民間の団体又は個人の再犯の防止等に関する活動の促進を図るため、財政上又は税制上の措置等必要な施策を講ずるものとする。

    第二節 地方公共団体の施策

 

第二十四条  地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じ、前節に規定する施策を講ずるように努めなければならない。

 

   附 則 

(施行期日)

1  この法律は、公布の日から施行する。

(検討)

2  国は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

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